6/1(月)〜7(日)まで丸々7日間、Shiga1 FKTのエイドサポートに入ってきました。
今まで100mileやステージレースのエイドサポート経験はありましたが、ステージレースでは無い7日間ぶっ通しウルトラトレイルのエイドサポートは初めてでものすごく勉強になりました。
今回の経験で、ステージレースと10数km〜400kmオーバーの短日〜複数日にかけてと幅広いエイドサポートの経験が出来たので、エイドサポートノウハウを公開したいと思います。
ノウハウといっても自分の経験値を基に、エイドサポートの魅力と注意事項やお勧めの方法をご紹介するだけですが。
[su_box title=”こんな人に読んでほしい” style=”bubbles” box_color=”#585858″ radius=”10″]◯エイドサポートを初めてする人
◯エイドサポートに興味がある人
◯エイドサポートを誰かに依頼したい人
◯壮大なチャレンジをしたいけどサポートにどんなコスト(金銭的、体力的、精神的)がかかるか知りたい人[/su_box]
ちなみに、僕のエイドサポートの経験はこんな感じです。
一般的な人が経験しない日数のサポートも経験させて頂きました。
- 10〜40kmのエイドサポート:10回以上
- 40〜100kmのエイドサポート:7回
- 100km〜100mileのエイドサポート:3回
- 100mile以上:2回
- 400km以上:1回
- ステージレース(7日間):1回
目次
エイドサポートが必要な理由
選手が壮大なチャレンジをする際には必ずサポートが必要になります。
中にはサポートなどなくても単独でやり遂げる人もいるでしょうが、ここでは一般的な人を対象にお話しをしていきたいと思います。
これから何かしらのチャレンジをされる方は、どの様なコスト(金銭的、体力的、精神的)がかかるのかを知っておく必要がありますし、サポートの頼み方一つでそのチャレンジが実行できるか否かが決まることもあります。
また、サポートを依頼される側の人も、どの様なことをするのかと、楽しい面と大変な面を知っておくことでサポート出来るかどうか、やってみたいかどうかの判断がつくかと思います。
サポートを依頼する側の人は、自身の挑戦が実現できる様に、いくつかのパターンを考えたサポート体制を考えましょう。
サポートを依頼される人は、一見無理そうな依頼をされても、自分がサポート出来る範囲を伝え、挑戦したい人にチャレンジの可能性を残してあげてください。
初めてサポートを依頼する人は、サポートを依頼したことがある人に相談してみるのが良いかと。
初めてサポート依頼される側の人も、過去にサポート経験がある人に実体験を聞くとサポートの楽しさや大変な部分も理解しやすくなると思います。
「周りにそういう人がいない・・・。」という人はお気軽にコメントか僕(首藤:シュトウ)までご連絡ください。
何かお力になれる様にアドバイスや、ご協力をさせて頂きます。
首藤の連絡先:shuto@inner-fact.co.jp
サポートの種類
一言に「サポート」と言ってもその内容は多岐に渡ります。
大まかに分けるとこんな感じ。
- ペーサー(必須)
- エイドサポート(必須)
- フィジカルケアサポート(可能であれば)
順番に説明していきます。
ペーサー
最近はウルトラトレイル系の大会でもペーサーが付くことを許可されているケースが増えてきてますが、今回のShiga1 FKTの様に複数日にわたるチャレンジの際にはペーサーがいないとメンタル的に持たないと思います。
特に夜間のナイトパートでは、疲れもある中でルートファインディング、ペース管理、補給食や水分の摂取管理など一人で行うと体力的だけでなく精神的な面で大きく疲弊し、気を抜くと大事故に繋がることも。
「ペース、補給や水分の摂取管理は自分で出来るだろう」と思うかもしれませんが、過酷なチャレンジになるとその自己管理が疎かになり、大きく体力を奪われたりコンディションを崩すことに繋がります。
ですので、ペーサーの役割としては以下が重要な役割になります。
いずれも事前にしっかりミーティングを行い、工程表を作成しましょう
- ルートファインディング
- ペース管理
- 栄養や水分の補給管理
- メンタル管理
ルートファインディングに関しては、コースロストが多くなると体力的にも精神的にも大きな負担になる要素なので、可能であればその区間を熟知している人にペーサーを任せるか、それが難しければ事前に選手自身かペーサーの人は試走が出来ると安心です。
ルートが分かりにくい部分や自信の無い部分がわかっている時は、事前に「この区間はルートが分かりにくいので注意しよう!」など注意ポイントを共有しておくと良いかと思います。
その他の管理に関しては、気温や体力などのコンディションに応じて目安となるペースや、補給の摂取量を決めておき、当日の天候や選手の状況を見て臨機応変に対応できるようにしましょう。
特に今回のShiga1 FKTを見ていて思ったのは、ペーサーがいることでのメンタル面の支えが大きかったのだろうと強く思います。
過酷な環境下でもペース通り進む判断をするのか、ペースを落として体力を少しでも温存させるのか、歩を進めるのを止め休息を取り回復に努めるのか。
これらの判断を体力面だけでなくメンタル面も考慮し判断する必要があるので、特に後半パートのペーサーの役割はものすごく重要です!
エイドサポート
今回のShiga1 FKTで僕が担当した部分がこのエイドサポートです。
選手が唯一回復できるポイントなので、いかに選手のストレスを排除して、回復してもらえるかに努めます。
事前準備が8割の仕事なので、事前に選手との打ち合わせと、当日選手の要望をいかに準備できるかにかかってきます。
事前準備の項目を大まかに以下にまとめます。
- 行動中の補給食
- エイドでの飲み物
- エイドでの食べ物
- 過去の大会で飲食してトラブルがあったもの
- 過去の大会で飲食して激的に回復したもの
- 普段の食事での好物
- 普段の食事での苦手な食べ物とアレルギー
- エイドポイント確認
- 位置情報アプリなどの共有
- 必要経費に関して
まず、最初の「行動中の補給食」は必ず選手自身が準備しましょう。
メーカーや味、成分の好みや必要性は本人が判断する必要があるからです。
また、選手は準備した補給食を区間毎に分けてジップロックなどに小分けしてパッキングし、エイドサポートの人に託しましょう。
補給食をまとめて渡して、エイドに到着したらピックアップするなどしたら余計な時間がかかったり、後半疲弊してくると何がどれだけ必要の判断が曖昧になってきます。
また、小分けした袋にはどこからどこの区間で使用する補給食なのかも明記し、可能であれば工程表に区間番号を振り分け、小分けした補給食の袋にも明記しておきましょう。
実際に今回のShiga1 FKTで田口さんが作成した工程表がこちら。
※公開許可頂いています。
次に、実際にエイドで選手が飲食する物資に関してですがここでは大まかな確認で大丈夫です。
と言うのも、工程が進むにつれて飲みたいものや食べたいものは大きく変わり、とんでもない事(笑)を要求し出すケースもあります。
ちなみに、今回のShiga1 FKTでサポートさせて頂いたトレイルフェストランニングカンパニーの田口さんは「カツ丼が食べたい!」と。
他にも、熱中症対策で「岩塩が欲しい!」、「叩いたら冷たくなるアイスノン的なものが欲しい!!」なども。
もちろん、全て準備しました!
それとは逆に、事前に食べたいと言っていたけど、当日になると全然手をつけないものもあります。
田口さんの場合はお菓子と果物でした。
この様に、事前打ち合わせで聞いていた食べたいものと、実際に食べるものの違いが出るので、エイドの物資を買う際はまとめて買わないことがポイントになります。
僕は最初の二日分はまとめて購入し、三日目からは毎日買い出しに行き調整して行きました。
まとめて買わない理由の一つに、エイドサポートは車で移動し距離が長くなるともちろん給油の必要が出てきます。
ですので、飲み物を大量に買うと数十kg単位で荷物が増えるので単純に燃費が悪くなります。
また、色々ありすぎると探す手間が発生し、作業効率が悪くなるので一気に買わないことをお勧めしてます。
また、選手自身で飲食物のストックがある場合もあります。
今回のShiga1 FKTの様な挑戦をされる方は、過去にも同様のチャレンジをしていたり、試走などで飲食物を購入しておりその余りがある可能性が高いです。
もったいないのでしっかりヒアリングしてそれらも有効活用しましょう。
なお、過去の大会で食べて気持ち悪くなったものなどは深層心理に残っているので、本人が大丈夫と言っても絶対に準備しない方が良いです。
逆に、「これ食べて回復したんだよね〜」と言うものは積極的に準備します。
当たり前ですが、アレルギーがあるものは排除しましょう。
暑い時期にはクーラーボックスなどあれば、アイスの実やアイスボックスなどのアイスをサプライズ準備すると物凄く喜ばれます!
単純に氷を買って飲み物を冷やすだけでも喜んでもらえるので、余裕があれば積極的に準備することをお勧めします。
ナイトパートや寒い時期はやはり温かいものが喜ばれます。
安定のカップ麺はもちろんですが、今回はカレーメシが大活躍!
他には、ランチパックなどをスキレットやフライパンで温めトースト風にすると、温かく食感もプラスされて本当に美味しい!!
ランチパックは甘いものから惣菜パンまであるので優秀です♪
エイドでのご飯は唯一癒される時間なので、なるべく美味しいものを提供してあげましょう!!
次に、エイドポイントの確認は詳細に行いましょう。
できればGoogle mapなどの航空写真を使い、ピンポイントの位置をお互い共通認識を持っておきます。
田口さんはGoogle mapで自分の通るルートを作成してくれていた為これが本当に役に立ちました。
選手がどこを通るか一目瞭然なので、これをもとに航空写真でエイドポイントをズレなく配置することが出来ました。
いつまで確認出来るか不明ですが、こちらも許可を頂きましたので公開します。選手の方は参考にされてください。
ポイントによっては、車が寄せられない林道や、トレイルの中に入ってエイド設営する必要も出てきます。
今回のShiga1 FKTでも2回エイド物資を持って山の中に入りました。
飲み物、食べ物、バーナー、ゴミ袋、まな板やナイフ。
諸々持っていくと10数kgから下手したら20kg前後になる事もあるので、トレイルに入れる装備と、バックパックは準備が必要です。
あと、体力も。
タイミングによっては深夜帯にトレイルに入ってエイド準備が必要になる事もあります。
野生動物との遭遇を避けるために音楽をかけたり、寒さを凌ぐためのウェア関係の装備も必要になります。
また、今回のShiga1 FKTは晴天に恵まれましたが、雨の場合はテントやタープなどの準備が必要になり、かなり過酷になりますのでエイドサポートする人も忍耐力と適応力を求められます!
エイドポイントの確認と並行して、天候や位置情報共有の確認もお忘れなく。
選手が現在どこにいて、どれくらいで次のエイドポイントに到着するのかを把握しておかないと、エイドサポートする側も全く休めなくなります。
Shiga1 FKTではIBUKIという3分毎に選手とサポーターの位置が更新される位置情報システムを使用していたので、尋常じゃなく快適でした!
一般的にはYAMAPの「見守り機能」が使えると思います。
位置情報を共有する際は、ログがどのくらいのタイムラグで更新されるのかも重要なのでそこの確認も忘れずに行いましょう。
最後に費用面ですが、ここが一番重要です。
お互い不安無く臨める様にしっかり確認しておきましょう。
どのくらいの費用がかかるかは経験がないとわかりにくいと思いますので、Shiga1 FKTで実際にかかった費用をExcelファイルにまとめ、ダウンロードできる様にしましので、こちらを参考にされてください。
また、この時に重要なのは選手が飲み食いする分は当然選手負担ですが、ペーサーやエイドサポートをする人の飲食費はどうするか、ガソリン代や日当(謝礼)、万が一移動中に起きた不意の事故に関しての責任の所在はどうするか、など考えうるケースは潰しておきましょう。
基本的にはペーサーの方の食事と、エイドサポートの移動にかかるガソリン代や駐車場代は選手負担なのかな思います。
それ以外のエイドサポートの方の食費や日当にあたる謝礼金は、関係性によって変わると思いますのでしっかり確認しておきましょう。
移動中の不意の事故に関しては細かいと思うかもですが・・・去年のShiga1ではサポートの車が3台パンクし、今回のShiga1 FKTではまさかの僕の車に落石が落ちてきてリアのフレームが割れました。
僕は楽観的な性格で、車も作業車のような感覚なのでこれも思い出として、この傷跡はあえて残しステッカーで矢印を添えて「Shiga1 FKT 2020」とでもデザインし貼ってあえて残しておきますw
ちなみに去年も今年もサポート車が被害にあったのは「抜土(ぬけど)林道」。
来年チャレンジされる方の参考になればと思い、動画撮影しましたのでどんな道か気になる方は見てみてください。
※40秒くらいからが本番ですw
林道の運転の仕方
せっかくなので林道の運転になれていない方のために、コツではないですが心構えをお伝えします。
「想定外を想定して、想定内にする」。
これが大事だと思ってます。
どういうことかと言うと、考えられるトラブルを小さいものから大きいものまであらかじめ考えておきます。
- 対向車が来たらどこで離合するのか
- 落石が多く道が塞がれていたら
- 大きな落石や倒木で物理的に進めなかったら
- パンクや脱輪などで身動きが取れなくなったら
他にも色々ありますが大まかにはこんな感じ。
1番目の「対向車がきたらどうするか」と、3番目の「大きな落石、倒木で先に進めない場合は」のいずれも「離合や旋回の出来るエスケープゾーン」を必ず探しながら運転します。
少しでも寄せられる、旋回出来るスペースを見つけたら「対向車が来たらここまで戻ればいい」や「万が一進めない場合はここでUターンしよう」という判断ができるので心のゆとりに繋がります。
2番目の「落石が多く道が塞がれていたら」の場合は、車から降りて落石を排除しましょう。
この時に、強引に進むのは絶対にNGです!!
落石というのは、山の斜面から落ちて「割れた」石や岩なので、その断面は鋭利に尖っています。
河原や砂利道のように人や車が通ったり、雨風で角が取れた石とは全く別物です。
ですので、落石が多い林道を走行する際は、絶対に落石を踏まない様にゆっくり慎重に運転し、万が一落石が道を塞いでいたら車から降りてどけましょう。
最悪、落石があまりにも多い場合は引き返す判断をしましょう。
最後に4番目の、「パンクや脱輪し身動きが取れなくなる」というケースの場合は、携帯の電波がどこまで拾ってるかを常に確認しておきます。
遠くても数kmも動けば電波は拾えるはずなので、万が一動けなくなった場合は落ち着いてそのポイントにジョグで向かいましょう。
決して全力疾走で慌てて向かわないこと!
転倒したら余計に大きな事故になりますし、冷静さを保てなくなります。
そして、電話ができる場所に着いたら、JAFや保険のロードサービスに連絡しましょう。
この際にどこに来てもらうのかを伝えないといけないため、林道の名前とどこから来てどこに抜ける林道なのかも把握しておきましょう。
これらのことを事前にリアルに想像しておくことで、心の余裕が出来て万が一のトラブルにも冷静に対処出来ます。
「想定外を想定して、想定内にする」。
これは本当に大事なことですので、林道を運転する時だけでなく、サポートをする人は、万が一の選手のトラブルなどにも備えて事前に考えうるケースは想定しておくことをお勧めします。
それと最後に一つ。
林道を走行する際はライトをつけましょう。
明るくて見えるから大丈夫ということではなく、ライトをつけることで「自分の車の視認性を上げる」事が目的です。
早く気づいてもらえたら、離合しやすいポイントで待ってくれていたり、出会い頭になることも避けられます。
明るい暗いは関係なく、少しでも走行に不安を感じる場合はライトをつける習慣をつけましょう。
さて、サポートから脱線しましたので、また話しを戻しますm(_ _)m
フィジカルケアサポート
過酷なチャレンジになるほど中盤以降選手の疲労の溜まり方は想像を絶してきます。
可能であればエイドポイントに付くたびに、選手が飲食しているタイミングでマッサージをしてあげてください。
簡単なものでもいいので、手が空いたら肩を揉む、シューズを脱がせて足裏のマッサージをする、ふくらはぎや太もものマッサージをするなど。
理想としては専門家の人がエイド毎に待機していてケアをして頂けるとベストなのですが、そんな贅沢サポート体制は稀かと思います。
ですので、少しでも選手の疲労を和らげられる様に簡単なマッサージでもいいので行いましょう。
足回りは傷がある事も多いと思うので、傷口は汚れを落として消毒すると安心です。
大きい傷がある時は傷パワーパッドなどで処置した方が良いかと思います。
また、マッサージを行う際はビニール手袋を準備しておきましょう。
選手の傷口に汚れを付着させないためや、単純に自身の手を清潔に保つためです。
素手でマッサージしていると、急に飲食物を要求された際に手を洗う必要もありません。
過酷なチャレンジの場合後半トレイル上でも選手の足が動かなくなり、マッサージする必要も出てきます。
このフィジカルケアのサポートが、選手の肉体的、精神的なダメージを緩和して行きます。
サポート側も体力を要しますが、可能な限りケアをして行きましょう!
エイドサポートに必要な物
ここからは、エイドサポートをするにあたって必要なものや、あったら便利なものをあげていきます。
必要物をまとめたExcelのファイルを添付しておきますので、チェック表として活用してください。
Shuga1 FKTの7日間をベースにした数量なので、必要数は選手と話し合い決めてください。
大まかにファイル内容の項目について説明をしたいと思います。
エイド設営用品
テントは3m×3mのサイズがいいと思います。
2m×2mはかなり小さく、雨の時横風が吹くとほぼ無意味です。
3m×3mでも雨のことを考えると横幕もあったほうが良いですが、ペグダウンしないと風の影響をもろに受けて危なかったりもします。
今回のShiga1 FKTでは晴天に恵まれ、テントは使用しませんでした。
テーブルはキャンプ用の軽い折り畳みのものは正直あまりお勧めしないです。
耐荷重がかなり弱いので、2Lの飲み物数本置いて、調理器具、食べ物を置くと安定感が心配になります。
また選手が手をついたりして荷重を変えるとぐらつきますので、もし軽い折り畳みのものを使う場合は、脚は伸ばさずに一番低い状態で使用してください。
個人的にお勧めなのは「コストコ テーブル」で検索したら出てくるこの画像のものです。
重くて大きいですが、かなりしっかりしていて作業スペースも広いのでこれ1台で十分な広さ。
今後もエイドサポートなどされる人には本当におすすめです!!
金額も5千円前後でお買い得です。
最後に椅子に関しては折り畳みで安定感のあるものでしたらなんでもいいと思います。
座り心地などももちろんありますが、僕はamazonで2脚で3千円しないものを使ってます。
ただし、一人一脚ずつのタイプにしましょう。
ベンチ型のは安定感が今ひとつです・・・。
仮眠用
選手もサポートの人も仮眠しますので、その時に必要なものです。
意外と忘れがちなので注意しましょう。
長い距離の挑戦になってくると選手はどこかで仮眠が必要になります。
理想はキャンピングカー仕様のハイエースなどですが、なかなか準備できないと思うので、フルフラットになる車でも大丈夫です。
車中泊をする時は選手が気を使わなくて良いように、また、車を汚さないようにブルーシートを敷くことをお勧めします。
ちなみにキャンピングカーのレンタル費用相場は1日15,000〜20,000円くらいになります。
レンタルする場合は必ず保険に加入しましょう!
ハイエースのキャンピングカー仕様は、ワイド&ロングボディが多く、余程乗りなれている人でないと車幅感覚が掴めません。
バックの時に後ろをぶつけやすかったり、林道での離合や旋回時に横をすることは十分に考えられます。
参考までに、軽自動車とハイエース(新型)のワイドかつロングボディのキャンピングカー仕様の車幅比較を明記しておきます。
横幅 | 長さ | 高さ | |
軽自動車 | 1.48m以下 | 3.4m以下 | 2.0m以下 |
ハイエース | 約2m | 約5.9m | 約2.3m |
特に「キャブコン」と言われるこんな形のキャンピングカーは、普通車では考えなくてもいい高さへの注意も必要です。
林道では木々が伸びているのでそれに当たったり、高架下を進むときの高さ制限で進めないなんてのも日常茶飯事。
ちなみにキャブコンの高さは大体2.8〜3mくらいあり、高架下の高さで2.5mまでというのが結構多いです。
車の準備が難しい場合はテントやハンモックになると思います。
個人的にお勧めなのはハンモックですが、使ったことないと設営に手間取ったり、時期によってはバグネット(蚊帳:虫除けネット)やタープも必要になります。
あと、意外と夜は背中の面が寒いのでキャンプ泊で使用するマットを敷くと快適になります。
ハンモックの利点は、石でゴツゴツしていたり、湿っていたり、アリなどの虫が多いなど地面の状況に左右されずに睡眠が可能な点です。
また、数千円出せばちゃんとしたハンモックが売っているので費用的にも抑えられます。
ただし、バグネットやタープも買うとなると数万円になりますが。。。
逆にテント泊の利点はある程度どこでもテントを張れることでしょう。
ハンモックは適当な間隔の木の幅と、人の体重を支えることの出来る太さが必要になります。
天気が良ければタープを張る必要も有りませんし(夜の場合)、バグネットも必要ないので準備が楽です。
ただ、いずれにせよ選手が慣れていないとなかなか寝れないので事前に選手の好みを聞いておき、ハンモックとテントどちらも設営し手順の確認と、破れや故障箇所がないか確認しましょう。
あ、あと夜の山は冷えますので寝袋も準備しておきましょう。
お湯を沸かしたりする器具
エイドでは温かいものを出すと喜ばれますので、バーナーもしくはガスコンロいずれかを準備しましょう。
できれば2セットあるとラーメンを作りつつ、味噌汁を入れたりなど並行して作業できるので2セット準備することをお勧めします。
コンロの場合はガス缶が必要で、結構ガスを消費するので多めに準備しましょう。
もしくは途中で買い足しましょう。
また、野外になると風の影響で熱効率がかなり悪くなります。
必ず風除けは準備しましょう。
僕はいつもペットボトルの段ボールを使ってます。
見栄えはイマイチですが、高さもありしっかり役目を果たしてくれます。
調理器具
そこまで大掛かりな料理をすることはないでしょうが、必ず必要になるのは果物ナイフとまな板ですね。
ナイフはアウトドア用のナイフではなく、果物ナイフにしましょう。
僕はアウトドア用のものにしましたが、刃が分厚くちゃんと研いでないと切りにくいです。
スキレットか、小さめのフライパンがあるとパンなどをトースト風に温められ食感もプラスできるので準備を強くお勧めします。
100均にあるスキレットで十分です。
味噌汁を沸かしたり、コーヒーを入れたりでなんだかんだ小さめのやかんがあると便利です。
また、クッカーはラーメン作ったり、インスタント食品を温めたりと大活躍しますので、必ず準備しましょう!
その他食器器具
スプーンや割り箸など、飲食するための消耗品も必需品です。
使い捨てはゴミになりかさばるので、再利用できるものを選ぶか悩みますが、洗ったりする必要もあるので自身の性格に合わせてチョイスして良いかと。
コップは飲み物だけでなく、味噌汁なども入れるので耐熱性にしておきましょう。
また、皿は安くて薄い紙皿はNGです。
持った時にフニャフニャしてこぼしてしまいますし、厚いものを入れてたら火傷してしまうことも。
浅目の皿と、深目の皿があると尚良し。
ラップがあると食べきらなかった果物やパンなどを保管できるので、準備しておくと便利です。
養生テープも同様に食べ残したポテチなどの袋の封をしたり、ゴミ袋をテーブルに止めたりに活躍するので用意しましょう。
ゴミ袋は小さいものにするとすぐ溢れてしまうので大き目がいいです。
ちなみにゴミの処分はエイドでは頭を悩ませる課題です。
基本的に家庭ゴミなどを道の駅やコンビニなどで捨てることはNGなので持ち帰りをお勧めします。
まれにコンビニで物資をたくさん買った時に、理由を説明したら捨てていいよと言ってくれる優しいオーナーさんもいますが、基本は持ち帰りになるので、ゴミは細かく圧縮して、ある程度分別しておくと後が楽です♪
衛生用品
リフレッシュ用に汗拭きシートはあったほうが良いです。
顔用と身体用は分けておかないと、身体用のメントール入りのシートで顔をふくと日焼けなどがしみたりします。
砂埃などで目も汚れるのでアイボンや目薬で目を清潔に保つことは重要です。
特にコンタクトの人は注意しましょう。
Shiga1 FKTでは田口さんの目はかなり腫れてしまいました・・・。
他には虫除けや虫刺され用のクリームがあるとストレスが緩和されます。
時期によっては日焼け止めがあったほうが良いです。
日焼けをすると体力の消耗につながると共に、ひどくなると水泡ができ、破れ、そこから化膿することもあります。
その他にも常備薬や鎮痛剤はあったほうが万が一の時に安心かと思います。
家にあるものを少し持って行くと良いでしょう。
救急用品
基本的にはエマージェンシーキットで大丈夫ですが、マメができた時に処置する針は準備しておくと良いと思います。
あとは、万が一に備えて選手やサポートの人の緊急連絡先、イベントを管理している人の連絡先、JAFやロードサービスの電話番号を一覧化して、車のダッシュボードなどに貼っておくといざと言うときに迅速に対応できます。
選手かペーサーにも同じものを携帯してもらうとよりGOOD。
機械系
今回のShiga1 FKTでは無線機を利用して、選手が近い位置に来た際の連絡が取れる様にしました。
位置情報共有アプリなどを使用する場合、電波状況が悪く位置情報が掴めないポイントが事前にわかる際は共有しておきましょう。
無線機があると、スマホの電波が届かないエリアでも、選手の通過が想定されるポイントの付近で待っておく事で、細かく無線で現在地の更新が可能になり、選手の安全も担保されます。
なかなかここまでの準備は難しいかもしれませんが、チャレンジの内容が過酷さを増し、選手のリスクが増える際は無線機の導入も検討した方が良いでしょう。
無線機はペーサーの人に携帯してもらうと選手の負担は減ります。
また、選手の時計やライト、スマホの充電を行うためのポータブルバッテリーは多めに準備しておきましょう。
場合によっては選手が携帯しながら動く場合も出てきますので、軽量且つコンパクトなモバイルバッテリーがあると非常に安心感が高まります。
充電する際は接触不良が無いか、しっかり差し込まないと反応しなかったり、角度をつけて固定しないと充電されない「クセ」のついたものもあります。
実際田口さんの時計はケーブルを挿して少し斜めに押さえておかないと充電がされないというケースがありました。
ギア関係予備
ギアが途中で壊れてしまうこともよくあります。
ボトルから水漏れ、ライトの接触不良、ザックのファスナーが動かない、ポールが折れた、シューズに穴がなどなど。
いずれも可能性としては起こり得る確率も高く、起こってしまうと続行不可能になり得る可能性も高いので必ず予備のギアは用意しておきましょう。
去年のシガイチではとある選手のシューズが、つま先から中足骨部分くらいまでのアッパーが破れてアウトソールと分離してしまい、ガムテープでぐるぐる巻きにして走るということになった人もいました。
着替え衣類
着替え関係は基本的に日数分は準備しましょう。
日が変わったり、睡眠時に着替えるだけでもかなりリフレッシュできます。
セットごとに袋に小分けしておき、いつ着たい服など希望があるもの(ゴールの時など)は明記しておきましょう。
また、帰りの着替えは必ず準備しましょう。
せっかく完走しても汗だくの服のまま帰路に着くのは辛いです・・・。
温泉に入ったりリフレッシュするので忘れずに準備を!!
エイドサポートの流れ
ここからは今回のShiga1 FKTでエイドサポートの依頼を受けてから、僕が準備したことの流れを説明していきたいと思います。
1週間前:買い物、給油ポイント、お風呂確認
まずは、1週間前くらいにコースマップとエイドポイントを照らし合わせて、どこでガソリンが入れられるのか、買い物するお店がどのあたりにあるのかを大まかに確認しました。
これをしておくと、このエイドポイントから次のポイントに移動する時に、「滋賀県側から入るとお店がないけど、岐阜県側からアクセスすると途中にスーパーがある」などどう動いたら効率が良いか大まかにイメージが出来てきます。
個人的に重要だったのはお風呂のポイント!
選手には申し訳ないけど、僕は3日お風呂に入らないのは我慢できない・・・。
なので、2日おきに入る計算で、エイドポイント付近かそのルート付近のどこにお風呂があるかを確認しました。
特に今回のShiga1 FKTはまだコロナの影響があり、営業時間の短縮やそもそも営業がされていないケースもあったので、ここを逃すとしばらくお風呂がなさそうだぞ!!というポイントでは事前に電話して営業時間の確認をしました。
5日前:エイドポイント確認
これも事前にエイドポイントの「ピンポイント」情報を確認しました。
Shiga1 FKTではピンポイントの位置情報をGoogle mapで田口さんが準備してくれていましたので、それをもとに航空写真とストリートビューを駆使してどこにエイドが設営できて、車が寄せられるかの確認出来ました。
車が寄せられるか微妙なポイントや、エイド設営場所から車を停められる場所まで距離がありそうな場合は、メモしておき後日打ち合わせの時に確認するようにしました。
ちなみに、Google mapではピンポイントの緯度経度が指定できますが、不規則な数字の羅列は馴染みが薄くイメージできないので、個人的にはこのアプリを激烈にお勧めします。
世界中のあらゆる場所を3m×3mに分割し、その区域内に3つのワードが当てはめられてます。
例えば、渋谷のハチ公前付近のとあるポイントだと「けんがい・おりがみ・くもり」です。
このアプリの何がすごいって、世界中の、例えば太平洋のど真ん中であっても3m×3m四方の場所をピンポイントで指定、共有できるところ。
しかも、適当な文字ではなくちゃんとした「単語」になっているので、共有した際に間違いも起きにくい。
国連では有事の際(地震や津波などの天変地異)「住所」というものが意味をなさなくなった時のためにこのアプリを推奨していたり、そもそも番地がない発展途上国では既にこのアプリがマストになっているとか。
海外のドミノピザの配達もこのアプリが使われているらしく、恐ろしく汎用性が高い!!
3m×3m四方と数字だけ聞くと結構広いと思う人もいるかもしれないが、一般的なテントのサイズは3m四方。
自分を中心に考えると半径1.5m!もう目の前ですよ!!
このアプリを選手とサポートが共有しておけばお互いの位置情報がミスなく伝えられるので、個人的に激推しのアプリです!!
3日前〜前日:事前ミーティング
本番の3日目〜前日くらいには必ずミーティングを行いましょう。
あまり早くやり過ぎると計画が変わる事もあるので、直前がオススメです。
先に挙げた確認しておきたいエイドポイントの詳細や、エイドサポートの項目で挙げた必要な確認事項を1つずつ詰めていきましょう。
準備物や当日の集合場所や集合時間。
また、天候も一緒に確認しておくことをおすすめします。
この時に大まかな天候がわかると、お互い準備物の漏れなどもなくせますし、対策が取れます。
前日ミーティングが終わったら、あとは本番の当日の動きです。
エイドサポート当日の動き
ここまで長い事準備の話しをしてきましたが、それだけ前段階の準備が大事です。
むしろ事前準備が8割で、あとはその準備した通りに当日は動くだけです。
僕は選手が到着予定の一時間前には必ず現地入りをして、30分前には設営を完了させておきます。
冷やしているものなどは選手が到着してから出すようにしました。
到着10分前かなくらいの感覚で一旦お湯を沸騰させて準備しておきます。
位置から温めると結構時間がかかるので。
ペーサーの人に到着のだいたい30分くらい前になったら一報くださいと伝えておけば、こちらも余裕が出来ますし休息も取れます。
最後に1つだけ注意点。
何があっても慌てずに落ち着いて行動しましょう。
選手が余裕なくなってきたときに、こちらも余裕がない対応をしてしまうとお互いテンパってきますので。
エイドサポート中は眠かったりキツかったりもありますが、過酷な挑戦の裏方として関わらせてもらった経験は物凄く充実感を得られます。
去年のシガイチがまさに僕にとってのそれでした。
日本ではまだまだステージレースは少ないですが、今後増えてきそうな気がしています。
そうなった時にボランティアや個人サポートも必要になるので、この記事が誰かの、何かのお役に立てると嬉しいです。
最後に、今回のShiga1 FKTという壮大な チャレンジをするにあたって、サポート依頼のお声を掛けて頂きました田口さん。
本当にありがとうございました。
このような壮大なチャレンジに関わらせて頂いたことに本当に光栄に思います。
また何かチャレンジされる際は、今回以上に万全を期したサポートをさせて頂きます。
田口さんのチャレンジにまた関わらせて頂けますよう、楽しみにお声掛けいただける日をお待ちしています。
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