暑!痛!眠!痒!辛!~Doi Inthanon Thailand byUTMB(TRANS-TNT160)~

Photo by Makoto Iyori

どうも、アフターサウナ前田ことだーまえです。
随分と季節が通り過ぎましたが、相変わらず楽しく走っています。
今回は先日参加したDoi Inthanon Thailand byUTMBのTRANS-TNT160、通称”タイの国”についてレースレポートを書かせてもらいます。
byUTMBというネームバリューに隠された過酷さ。それを表す数字として、完走率がわかりやすいかと。
このレースは制限時間が50時間もあるにもかかわらず、完走率は51%と低め。「騙された!!」というランナーが大多数だったかと思います。
かくいうだーまえも、”二度と参加したくない!!”と断言できるぐらいにはきついレースでした(笑)
そんな「タイの国」についてレースの様子や走ってみての感想をここに記します。

タイの国とは?

まずはレースの概要をまとめてみました。

その中で今回は筆者の走ったカテゴリー「TRANS-INT160」について深堀します。

TRANS-INT160(走行距離175㎞ D+10030m)
スタート時間:12/8(金)10:00(日本時間12時)
スタート地点:ワットナムトーン寺院
フィニッシュ:大会会場(ロイヤルパーク・ラジャプーク)
※ワンウェイコース
エイド:16か所
ドロップバック:2か所(それぞれ別のバックがA6とA12へ配置される)
仮眠所:5か所/シャワー:1か所/サポート可能エイド:5か所
制限時間:50時間

ざっくりですが上記の通りです。
会場からスタート地点が車で90分ぐらいと離れているのですが、会場からシャトルバスが出ているのでご安心を♪
ただ会場でドロップや、フィニッシュでピックアップするバッグをすべて預ける=スタートできる格好でバスに乗る必要があるのでご注意を。
詳細については公式サイトをご覧ください。

ちなみに海外レースとなると、移動や資金面が気になるところ。
今回の旅をともにしたINNER-FACT代表の首藤さんがそのあたりの情報をまとめたブログを書かれていますので、是非そちらを参考にされてください♪
レース前後でたくさんのサポートをいただきました!改めて感謝申し上げます。

コースについて

コースマップ(引用元:Trans-Int 160 (utmb.world)

標高図:当日の気温や天気なども自動で表記されるので便利!(引用元:Doi Inthanon Thailand by UTMB® 2023 – TRANS – INT 160 (yourraceplan.com)

ワットナムトーンという寺院をスタートして、タイで一番高い山ドイ・インタノン山の外輪を辿りつつ、北上した後に、チェンマイ市街へ向けて低山を繋いでいき、会場のロイヤルパーク・ラジャプークへフィニッシュするコース。
序盤は標高の高いところを通るため夜間は汗冷えなどの対策が必要な場面も。
逆に終盤の低山では気温が30℃を超える場面もあり暑さへの対策が必須となります。
最高標高は2000m越えと本格的な山岳パートがありつつも、東南アジア特有のジャングル地帯を抜けたり、トウモロコシ農家さんの横を潜り抜けたりと、よく言えばバラエティに富んだコースとなっています。
本当にコースなのか怪しいところが何か所もありましたw

詳細はレースの振り返りと合わせて行いたいなと思っていますが、標高図には表れないキツさ、サーフェスのハードさなどが随所に散りばめられています。
もはや「嫌がらせか!?」と感じる場面もあり、日本のトレイルって優しいんだなと再認識しました…

レースの振り返り

S~A4まで

S~A4までの標高図。A3で食事の提供があるものの、それ以外は軽食とドリンクのみ。

スタートはさすがbyUTMBといったところ。エリート選手を紹介していき、徐々に熱を帯びる会場。
日本人のトップ選手も参加されていたので、私だーまえもあこがれの選手を前に緊張の面持ち。すぐ隣にあのJR田中選手がいらっしゃったので思わずしゃべりかけてしまいましたw そんなお祭り感覚の中レースはスタート。
上空からは何台ものドローンが撮影しており、トップ選手の走りに当てられて集団は加速していきます。
かくいう私はスロースターターなので中盤からのスタート。というか抑えて入ったつもりでも4’30/㎞となかなか速い…案の定心拍数が爆上がりなので登りに入った瞬間しっかり歩いて落ち着かせる。
そんなふわふわした入りだったことを覚えています。

画像の左側がだーまえ。他にもエイジカテゴリー入賞の小島さんや、女子総合入賞の澤田さんも♪

A1までは比較的緩い登り基調で、頑張れば走れる登り。
距離累積は右の通り:S~A1 13.9km D+935m
コースマーキングはかなり丁寧で、100m以内にはマーキングされている印象。なのでロストしてもすぐに気づけましたw
序盤は岩盤質がメインのサーフェス。標高が上がり切るまでは暑さを感じて、発汗量も多かったので意識的に抑えて進みました。私の場合心拍数での管理が中心になるのですが、予定ペースで進むと心拍数が上がりすぎる状態が続くので、維持するか落とすか悩んだ挙句、ここはプッシュしました。
結果的に見事に中盤潰れたのでこのあたりの見極めにはまだまだ経験が足りないなと反省…
続いてエイドのお話し。

大会公式写真。以下クレジット無しは全て公式の写真です。

エイドでスイカを頬張るだーまえ。スイカに何度も救われました…

エイドの提供物は基本的にはほぼ同じパッケージ。
軽食はスイカ、バナナ、ミカン、ドライフルーツ各種、ナッツバー、後半は日本でいうチョコパイみたいなスポンジケーキとカップ麺(トムヤムクンとポーク味)が提供されていました。
記憶があいまいなのですが、食事としてタイ米、スープ、豆腐や練り物、シュウマイのような蒸し料理が提供されているエイドもありました。
ドリンクは水、コカ・コーラ、フレーバージュース(かき氷シロップを薄めたような味)、ハイポトニックドリンク、ポカリが置かれていました。日本人だとやたらポカリを勧められましたw
均一的なエイドなので、序盤で自分が摂取するものをしっかり見定めて、後半は作業のようにカロリーを摂取するマシーンとなっていましたw

A3~A4の区間だったと思うのですが…下りが結構テクニカル!というか怖い!!

A1からA2にかけて一気に標高が上がります。
距離累積は右の通り:A1~A2 9.9㎞ D+1242m
噂に聞いていた急登区間。ただここの急登は優しい角度でしたね…長い登りを一定の出力で淡々と登っていきます。途中小雨が降った時間帯もありますが、特に問題なし。
まだまだ慌てるような時間じゃない((((;゚Д゚))))
続いてA2~A3。稜線沿いに走れる区間。ただ標高図には表れない細かなアップダウンが足に来た印象です。
距離累積は右の通り:A2~A3 9.1㎞ D+578m
正直あまり記憶がないですw 気持ちよく走ったのか、まだまだ序盤なのでぐっとこらえていたのか…
印象の薄い区間でしたw
A3~A4区間は一気に下って、登り返す区間。
距離累積は右の通り:A3~A4 11.5㎞ D+578m
エイドを通過してすぐの下りがエゲつなかった思い出があります。
その下りが終ってからはジャングルみたいな区間で、トラバース気味に下っていくんですが、トラバースの斜面が辛いw
足首を持って行かれそうになるのを踏ん張ってこらえるという作業の繰り返し。
地味に削られすでに嫌な雰囲気を感じていました・・・。
その後畑を抜けて、民家の間を抜けていくと登り返し。案の定走れない角度ですw
そんなこんなでA4に到着。直前でカメラマンの”みついしんたろう”さんに出会い、元気をもらいました(^^♪

A4~A8

A4~A8の標高図。A6にはドロップバックがある。その一心で歩を進めるだーまえでした…

A4に到着して、一緒に参加していたしげさんと合流。まだまだ元気そう!
ここまでだーまえは運航計画に対してほぼオンタイム。
ただ標高が上がってきたことと、夜に突入する直前で寒くなることを予想してシャツを着替えたり、ヘッデンを付けたりと長めにエイド滞在。そしてスイカをむさぼるw

保温性を重視してAxio生地のロングスリーブへ。着替えなければ汗冷えしていたと思う。

そして今回最もきつかったと自信を持って言える区間がここA4~A5です。
距離累積は右の通り:A4~A5 11.4㎞ D+1327m
区間内の獲得標高が全区間で最大なので選手の皆さんがマークしていた区間かと。
それでも辛かった。本当にきつかったのがこの区間です…w
標高図のA4~A5の区間をよくよく見てほしいんですが、ものすごく細かいギザギザになっているんですよwww
これ解像度が低いとかじゃないんです。
もうここのギザギザがエゲつないことこの上ない。ちなみに基本直登です😆
渡渉の後に出てくる崖登り。マジでどうやって登ればいいかわからないレベル。
マーキングテープが見たことない角度についてるんですよ。冗談かと…w
そして同じ角度の激下り。もちろんロープなんて優しさはありません
更にはこのレース以外で絶対に使っていないであろうトラバースルート。斜面の角度そのままトラバースさせられるので、イン側につく足絶対殺すマンと化したルート
極めつけはトレイルが終ってロードに出た安心も束の間。延々と走るに走れない角度のロードを登らされ、霧でよく見えない謎に入り組んだ公園を彷徨わされる。
たかだか60㎞弱で早くも幻覚を見ているかのような感覚に襲われますw
この区間にギュッと地獄を詰め込んでくるあたり、コースディレクターのおもてなし精神を感じられますね!
恐らくこの区間で多くのランナーは心を折られたかと。次年度以降もこのルートが採用される様なら、想像の2倍はきついと思っておいて損はないかと。

うつろな目をしただーまえw 手首のプラプラ具合から疲労感が漂います…エイドで長めに休むか悩んでいました。

命からがらA5に到着。先についた選手が虚空を眺めています。
あぁ、彼の魂はあの区間に置いてきてしまったのだ。自分がそうならないよう気を保つのに必死。
かなり寒くなってきており、レインを羽織ってはいるものの長居は無用。温かいスープをもらってすぐに出発。
A6までの区間の距離累積は右の通り:A5~A6 8.3㎞ D+40m
ピストン区間でロードを一気に下りて、一瞬トレイルに入るものの走れる程度のアップダウン。
からの激下りでA6に到着します。※激下りはなかなか痺れますw
ここでは待ちに待ったドロップバックが受け取れます。
ここで補給を追加しつつ、汗をかいたウェアを着替えます。そしてPRローション
これが後々効いてくれました。本当に何の成分なのか、気になってしょうがないw
A5だと寒くて体が固まる恐れがあったので、こっちで長めの休憩を取るのが吉かと。
正直この時点で脚はほぼ売り切れ。ただ周りの選手も滞在時間が長いので、恐らくきついのだろうと…
そう思わないとやってられないwww 次のエイドを目指して踏み出します…
A7までの区間の距離累積は右の通り:A6~A7 5.7㎞ D+289m
正直記憶にありませんw ただめちゃくちゃ辞めたくなったのは覚えています。
次のエイドで寝よう…かなりネガティブなマインドでした…
A7に到着すると温かいものを食べたくなり、トムヤムクンヌードルを勧められました。というかこれしかなかったw
嫌な予感がするものの、辛さ調整のオイルを入れなければ大丈夫だろうと過信。
うん、すっぱからい…お腹がキリキリするwww
こりゃもう駄目だと横になろうとするも、仮眠できるエイドではないようで、寝られるところはガチガチの石のベンチのみ。
「とまるんじゃねぇぞ…」というどこぞの誰かからの啓示だと信じて進みだします。
A8までの距離累積は右の通り:A7~A8 10.7㎞ D+690m
直後の直登で胃のむかつきや睡魔で全く進めなくなり休憩。二人に抜かれる。
再び歩き出すもまた休憩。そして抜かれる。
そんなこんなで6人に抜かれて意気消沈…。当初のスケジュールから1時間以上遅れているし、順位狙いは難しい。
こうなってしまっては仕方ない、完走目的にシフトしてマイペースで進むことに。
このマインドが功を奏して、ふっと体が楽になる瞬間が訪れます。
通常これを復活と呼ぶのでしょうが、私は意地でも「エンペラータイム」と呼びますw
ここからが第2ラウンド開始!!

A8~A12まで

A8~A12までの標高図。A9までの道のりで登ったあとは下り基調で気持ちいい、わけもなく…

A8に到着後、先程抜かれたランナーがみんな滞在していることに気が付きます。
あれ?思ったほど離れてないな。
エンペラータイムで覚醒中なのでさっさとエイドを出ます。
A9までの距離累積は右の通り:A8~A9 10.4㎞ D+915m
ここで4人パス。加えて登山口のとりかかりで2人パス。さっきの借金チャラじゃん!
などとご機嫌な脳みそでぐんぐん登っていきます。
気づけば登りが終って下りへ。嫌なことに濃霧が立ち込めています。
そしてここまで登ってきた道は赤土…🤔
想像に難くない、「トゥルトゥル」の激下りが待っています。しかも濃霧によりヘッデンは手に持って下らないと見えない鬼使用!
何処に足をついても滑り散らかすので、ストッパーになる木や、グリップの利く下草をめがけて下っていきます。
コケるたびに手からヘッデンが吹っ飛んでいきそうになるのを必死に止めていました。
もう何の競技かわからないですね…w
ただここを越えれば個人的にはひと段落?あまり記憶がないですが、淡々と進み続ける区間だったかなと。
A9~A10の距離累積は右の通り:A9~A10 6.2㎞ D+125m
下り基調で特筆することなし!w(覚えていません…)
A10~A11の距離累積は右の通り:A10~A11 9.1㎞ D+325m
こちらもほぼ記憶なし!w 相対的にきつくなかったのかと🤔
A11~A12の距離累積は右の通り:A11~A12 14.4㎞ D+307m

このレースで唯一自分で撮影した写真w 突如現れる象さんにビビる…


ここの区間は距離が長くなるので手前のエイドでしっかり目に補給。加えて夜が明けるので暑さにも対応できるよう装備を微調整。
空が白み始めたころ、タイ人のランナーと並走。彼とは2時間ほど一緒に過ごし、途中ミカンをくれた。ナイスガイ。
そして道中で日本人ランナーなら知らない人はいないであろう、あの小原選手が目の前に。
一瞬幻覚を疑うw 指のケガをされたことはA4で聞いていたので、体調などを案じて声をかけさせてもらいました。次のエイドでやめるとのこと。過酷なレースだなぁという他人事のような感想を覚える…。
その直後、突如現れる象さん
ウキウキで自撮りをかまします。その直後にあぜ道を走るのですが、今度は牛が道をふさぐ
絶対に道を譲らないという強い意志を感じました。
そしてタイ人の感性を疑いたくなるような橋を渡らされます。
途中でワイヤーを掴みつつ一度体を反転させなければ渡れない鬼畜使用。これ後ろのランナーさん大丈夫なのかな?という箇所がこの後何度も出てきます。

Photo by Makoto Iyori  この廃材が堆積したような物体が橋です。はい、橋なんです。
Photo by Makoto Iyori  ほら「DANGER」って書いてるじゃん。
Photo by Makoto Iyori  せめてもう少し太い木を掛けてくれんかね…w SASUKEかよ…。

おわかりいただけただろうか…?
これはほんの一部で、このクオリティの橋のような何かがいくつも出てきます。
噂では渡れる自信がなく立ち往生する選手もいたとか…w
いろんな意味で試されるレース。それがタイの国です…。

Photo by Shintaro Mitsui 橋を渡ってすぐに撮ってもらった写真😍 この時は気分上々でございました♪

A12~Finishまで

A12~Finishまでの標高図。大きな登りはないものの、低山ゆえの暑さとこまめなアップダウンが鬼門…

A12に到着後ドロップバックを受け取り装備の変更と、補給を詰め込みます。
そして例のごとくPRローション。麻薬患者の気持ちです。やめられない、もっとくれと体が欲します。
意外と前後に人がいて、順位争いほどではないですがやはり抜かれたくないというマインドが働きます。
Finishまでのこり55㎞弱。累積が3000mほど。なるほど彩の国の1ループと考えればちょうどいい。
彩の国で入賞争いするレベルであればSouth2は10時間切らなきゃお話にならないと思い、Finishまで10時間切りを目標に設定。
とはいえ、準備は大切。ここからは水切れのリスクもあるのでフラスクは500mlを3本持ち。加えてハンドボトル330ml。経口補水液のゼリータイプをお守りに。さらに氷がもらえるエイドではジップロックにパンパンに詰めていきます。水分だけで2L以上は積んでいました。
日中は時間がかかるランナーであれば最低でも2Lは必要な暑さかなと。
では終盤区間を振り返ります。A12からの距離累積は右の通り:A12~A13 13.7㎞ D+944m
終盤に入ってすぐにこの距離累積…痺れますねぇ…w
特にしょっぱなは案の定急登。時間をかけて登りますが発汗が止まらないうえ、カロリー消費も加速。
結局A12で積んだ補給の半分をここで使ってしまうことに…。
やはり暑いとカロリーの消費も速いなと感じます。
A13に到着して氷を求めるもないとのこと…ただ掛水はあるとのことでついていくと手水舎www
不謹慎だとは思いつつも現地の方が満面の笑みで勧めてくださるので、甘えさせてもらう。
うん!!ご利益がありそう!!
A13~A14の距離累積は右の通り:A13~A14 8㎞ D+152m
ここはあんまり記憶がないですがほぼ走ったのではないかと。林道みたいなところが多かったかなぁ…
最後の方にスライド区間があるのですが、そこで前の選手との差がわかって逆にきつかったですね。
A14に到着した段階で汗の量が尋常ではなく、すぐさま氷をもらいました。
加えて固形がきつくなってきたのでコーラをボトルに入れて持って行く。
これで何とかカロリーをとっていく、あとはバナナとミカンを駆使して進むしかない状況に。
この区間の距離累積は右の通り:A14~A15 9.7㎞ D+571m
登りはどうせ急登だろうと思ったら、急登でした。悶絶しながら登ります。
ただ睡魔が首筋にまとわりついている感覚。歩くと寝てしまう。つまり走れということか!
またしても天啓を得て急登でダッシュしたりしながらごまかします。
ただ暑さが耐えがたい。氷も全部溶けてしまってからは、ペースを落として耐えるのみ。
A15に到着すると3人の選手が滞在中。よしよし差が詰まっていると思ったのも束の間、入れ替わりで出ていく様子。
ここからがきついんだよな…と時計に入れた標高図を見ながらため息をつく。
まあ行くしかない。5分ほどの滞在で氷と補給をしっかり済ませて出発。
最後の難所。A15~の距離累積は右の通り:A15~A16 15.2㎞ D+909m

A16の手前で選手をパスして下りに入るところ。ここの階段が地獄のような角度、段数なんすわ!!www

A15を出てすぐに川沿いを進むのですが、道が良くわかりません。巨岩を乗り越えながら進むも、正解かわからないので、足跡を探しながら進む。
そしてお決まりの直登。ここで度重なる渡渉と岩盤質な路面によるダメージで足裏に鈍い痛みが…
前との差が開いてしまうけど、冷静になろう(休憩したい…w)ということで、靴下を履き替えることに。
ついでにシューズの中に入った砂や泥を取ってリフレッシュ!!
履き替えようとして何度も足が攣ったものの、ここでの判断は良かったんじゃないかと思っています。
長い距離の中で何度もこまめな上り下りを繰り返す
基本一人なので独り言で数々の弱音、罵詈雑言を叫びながら、走り、そして歩く。
このレースの核心部ともいえる区間かなと。
エイドの3㎞ほど手前で日本人トップの池畑さんを捕まえます。序盤TOP10に絡む偉大な走り。
ただ後半、臀部に痛みが出てしまい失速したとのこと。改めてこのコースのエゲつなさを実感する…。
エールをもらい前を追う。すぐに中国の女子選手を捕まえます。左手を上げてサムズアップ。
かける言葉は「Good Luck!」
さながら気分は鏑木毅大師匠である。
そこで順位が16位だと知らされ、一つでも上の順位でFinishするべく加速!
最後に写真の寺院から一気に下る階段が出てきますが、痛みをこらえながら下っていく。
そして最後のエイドA16に到着。先客がいる様子。
なんとあのサンゲシェルパ選手…。ただこの時は彼がサンゲ選手だと認識しておらず、私がエイドインして急いで準備を始めたので、こちらもボトルにコーラだけ入れて30秒ほどでエイドアウト。
そうこうしているうちに抜いた二人もエイドに到着し、ここまできて四つ巴の様相。
Finishに向けて最後の叩き合いが始まりました…。
最後の区間の距離累積は右の通り:7.1㎞ D+281m

最後きつ過ぎて半泣きのだーまえを哀れむ女性ランナー。この1枚から色々と伝わるかとwww

サンゲ選手が後ろから追ってきているので、必死にプッシュ。
一発大きく登って、少し下って、登り返した後にFinishまで一気に下る。
途中50㎞の選手と合流する箇所があり、そこから少し渋滞する箇所も。
拙い英語で100mileのランナーです。と言っていたつもりだけど、「ひゃくまいる」って口に出していたので、きっと日本人にしか効果のない言葉でしたね…。
後ろを気にしながら、前を空けてもらいつつ最後の力を振り絞る。
Finish会場のロードに出て、恐らく順位確定ポイントらしき場所をくぐった瞬間の安堵感たるや…。
そしてINNER-FACTの首藤さんが見えた瞬間、感極まり泣いてしまいましたwww
レースで完走して泣くのは初めての経験でした。それぐらいきつかった…。

Finish手前首藤さん夫妻と♪なぜか半笑い。

本当に長い旅路でした。最終区間10時間切りはならずでしたが、順位にこだわって走れた自分を誉めてやろうと思います。
31時間53分33秒 総合15位 男子12位でのfinishでした!

Finishの様子。早くも苦笑い。二度とこのコースを走らないと心に誓うwww

レースに向けたアドバイス

来年も同じコースだと思うと正直このコースはお勧めしませんw
100㎞や50㎞カテゴリーの方がタイ旅行も楽しめるでしょうし、ランニングストーンも他のレースの2倍取れて万々歳かと。100mileは辛さのわりにUTMB indexも上がりにくいうえ、終わってからのダメージが大きい…。
帰国後5日間は激しい寝汗に悩まされましたね…。
ただ他のレースにはない経験は積めますし、完走した時の充実感は間違いないです。
予めアドベンチャー感?みたいな要素を覚悟していれば、挑戦しがいのあるレースと受け止められるかもしれません…。(受け取り方には個人差がありますので…。)
ここまで読んでなお出たいという変態な皆様に、だーまえからささやかながらアドバイスを。

熱中症・脱水対策

このレースに限らずですけど日本の5月末~10月頭ぐらいのレースにおいても必要な対策かと。
だーまえが今回実践した内容を記します。
ジップロックに氷を入れてザックと背中の間に入れる
・ハットの中に氷
・経口補水液のゼリー
・塩分(ナトリウム)、ミネラルの補給にソルトスティックを活用
・暑熱順化→直前のサウナ練(週3回)と暖房器具で30℃設定にしてスピンバイクを漕ぐ

熱を瞬間的に下げる手っ取り早い方法は氷ですね。このレースでは言えばもらえるエイドが多かったです。
あとはナトリウムの摂取。ソルトスティックが効果的でした。日本では塩分タブレットが一般的ですが、ナトリウムの量はイマイチなので成分表などを見ながら判断が必要かと。
暑熱順化も付け焼刃でもやらないよりはいいかなと思います。家のお風呂を熱くして長めに入るというのもありです♪実践できる範囲で導入をおススメします。

コースへの対応

散々こき下ろしたこのコースですが、出るからには対策が必要かと。
試走ができる環境にある方は少ないと思いますので、できることは限られていますが、参考までにどうぞ。
ポール(ストック)を使う
・一発で1000mぐらいの登りを、淡々登る練習
・足首の強化(トラバースの斜面対策)
・急斜面の下りで前腿を温存する練習

ちなみにだーまえはポールを使用してません。が、絶対使った方がいいですね…。今回ポールの必要性を身に染みて理解できました。僕のように持っていない選手はまだしも、持っている場合は使うかどうか迷う余地はないと思います。
※海外の選手からポールが折れたのかと心配されましたが、持ってきてないと伝えると憐れみの表情をされました。
その他はできるだけ過酷な環境下で、淡々と動き続ける練習と体の強化ですね。特に足首は酷使しすぎると全く走れなくなってしまうので、予め道の悪いトレイルなどをあえて選んで練習しておくと良いかと。
急登が本当に急登です。イメージの2倍は急登ですので、ご覚悟をw

序盤の急登区間での1枚。熱がこもらないようザックを前にかけてました。

使用した装備一覧

今回使用した装備を羅列しておきます。
わかる範囲でリンクも貼ってますので、よければどうぞ。
ハット:F&M TSUBAME TULIP GR / NV | FRANK&MORRIS (stores.jp)
ザック:instinct X 10L Black/Lime (inner-fact.co.jp)
トップス:
INNER-FACT インナーファクトMEN’S アンダーウェア ノースリーブ (inner-fact.co.jp)
ELV1000 Non Sleeve|メンズマウンテンランニング|アウトドアブランド Teton Bros. (teton-bros.com)
Axio Lite L/S|メンズMOBウール|アウトドアブランド Teton Bros. (teton-bros.com)
ボトムス:instinct TRAIL SKIN (inner-fact.co.jp)
インナーパンツ:Men’s シームレスインナーパンツ (inner-fact.co.jp)
ソックス:INNER-FACT インナーファクト 五本指 ミドル丈(足首丈)
シューズ:ENDORPHIN EDGE – (saucony-japan.com)
ウエストベルト:ウエストベルト (inner-fact.co.jp)
フラスコ:INNER-FACT インナーファクト ソフトフラスコ ストロータイプ
ゼッケンベルト:INNER-FACT インナーファクト レースナンバーベルト
テーピング:伸縮性ロールテープ 幅5cm x 長さ5m (inner-fact.co.jp)
時計:COROS VERTIX 2 GPS Watch
カーフスリーブ:コンプレスポーツ(モデル名不明)今回のレースで穴が開きまくったのでご臨終です…

どれも自信をもって良かったといえるアイテムたちです。
夜間と日中で寒暖差が激しくレイヤリングをこまめに行いました。A6以降はアンダー、A12以降はトップスとして機能した変態インナー(INNER-DACT インナーファクトMEN’S アンダーウェア ノースリーブ (inner-fact.co.jp))は個人的ベストバイです。(正しい使い方を無視してすみませんw)
アメリカでのBackyardultraでも着用しましたが最高の着心地です。皮膚のスレなど一切なし!
寒暖差が激しく、レイヤリングなどで対応しなければならないレースにおいて非常に汎用性高く、皮膚トラブルを防げるという点では他のインナーと一線を画しているなと。
このレースに限らず、各種エンデュランスレースの装備の参考になれば幸いです。

まとめ

最初は備忘録の意味合いもあり思い出しながら書いていましたが、とんでもない文字数となってしまいました…。
UTMBに出たいという方にとって、効率よくランニングストーンを稼ぐという点ではその通りかと思います。
ただ生半可な気持ちでは完走は難しいレースというのも事実。
来年以降コースがどうなるかはわかりませんが、気候やエイドステーションの内容についてはある程度参考になるかと思います。
簡単な100mileはない。身に染みるレースでした。
これを読んだ皆さんが出場を志す際には、目的意識をはっきりとさせておいてください。
それがここ一番での踏ん張りに繋がるかと。
相変わらずまとめるのが苦手で乱文だったかと思いますが、ご覧いただきありがとうございました。
ちなみに音声コンテンツのPodcastでも今回のレースを振り返っています。
ご一緒した小田さんにも出演いただいているのでよろしければお聴きください♪

ブログでは触れられなかった話題もあります。ローカルトークが多く恐れ入ります…m(_ _)m

今後とも宜しくどうぞ。



アフターサウナ前田アフターサウナ前田

アフターサウナ前田

広島生まれ、広島育ち、広島在住の33歳会社員。 アウトドアアクティビティとサウナをこよなく愛する男です。 学生時代は陸上競技で短距離を、社会人になってからはマラソン、そしてトレイルランに没頭。 トレラン×サウナの文化を広げるべく、「トレランアフターサウナ」のTシャツを着て各地に出没しています。

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