こんにちは。ストックオタクの江西です。
様々なストックを持っていて、「人間は獣のように四足歩行のほうがいいのでは……」と真面目に考えている危険思想の人間です。エヴァンゲリオンではもちろん弐号機が好きです。
一軍のストック達
レースでストックが使用可能なら、木刀を手にした中学生のように目を輝かせ、喜び勇んで使っています。
老後の夢は、脚が衰えても「LEKIのシャークシステムのストックを使ってガシガシ歩く老人」になることです。
そんな私が、艶やかに湾曲した「N&W Curve 600 Skyrace + Ninjaストラップセット(以下、ニューカーブ)」に惹かれるのは自然な流れと言えます。
先日ついに入手して、10時間ほど使ってみたので、早速レポートを書いていきたいと思います。
ひとまず、仕様を引用します。
-----引用開始
>N&W Curve-ニューカーブ-は人間工学に基づいて設計された、イタリア製高機能トレランポールです。
一般的な直線構造のポールと異なり、湾曲したポールの構造が自然な手首のポジションを実現。
力強い推進力
手首の自然なポジションが取れることでポールに伝わるエネルギーのロスが少なく、力が地面にダイレクトに伝わりより強い推進力となります。
長時間使用で疲れにくい
手首に負荷がかかりにくい持ち方ができるため、ウルトラトレイルになるほどパフォーマンスを発揮できます。
安定性と堅牢性
手首が自然なポジションになることで体幹の安定性が増し、ポールにかかる負荷も少なくなるためウルトラトレイルで使用しても安心な耐久性を誇ります。
ーーーーー引用終了
詳しくは下記URLをどうぞ。
https://shop.inner-fact.co.jp/?pid=175621937
まっすぐのストックでは110cmを使っていますが、このストックは大体95cmにしています。
一般的なストックだとグリップを握った肘の角度は90度が適正と言われていますが、これは90度より全然下です。
湾曲していてグリップの角度が違うので、この長さで違和感なく使えます。
この不思議な感覚は是非体験してほしいです。
下りでストックを使うなら長めにするというのが基本です。
下りでも使いこなせるという自信があるならもう少し長めがいいです。後述しますが、このストックは下りも使いやすいです。バランスを取ってもう少し長くしても良いと思います。
そもそもこのニューカーブは長さ調整可能で、その手間も少ないので、レース途中で変えるのも面白い選択肢です。
ニューカーブの利点
長さが短いので、普通のストックよりも腕を上げなくていいことです。
トレイルランニングでストックを使うとき、基本的に、右、左、右、左……のように交互突きです(100マイルレースを想定していますが、激しい登りがあるバーティカルでも基本的に交互突きです)
傾斜が急になったり大きな段差があるときは、ストックを身体の前に突いて体重移動します。
ニューカーブでは、これらの動作が、従来のストックよりも若干手前でも可能になります。
つまり「高さ」と「距離」両方とも縮められる感じです。
これだけでも楽になるのが分かると思います。
激登りでは、諸手で突いて身体を引き上げます。これによって、脚を温存できます。必須テクニックですが、身体が疲れるのでトレードオフです。
このストックだとその諸手突きの機会がそもそも減ります。交互に突く基本動作で済むのは大きなメリットです。
私は100マイルレースの終盤、脚はストックで温存しているので、キロ5分でダッシュできるのですが(距離が伸びて185kmになった2018年のKOUMI100マイルでもそうでした)、上半身はバキバキで肩は凝りまくっています。
ストックを使うと全身運動になってしまうので、カロリーの消費も激しく、補給も多くなります。
注意点として、ニューカーブは、ガシガシ登るストックではありません。その代わり、先述したような要素が重なって疲れにくいです。消費カロリー量も少なくなると思います。
よって、100マイルトレイルランニングレース向きの温存できるストックといえます。
逆に向いてないのは、トレイルシェルターやツエルトを使って休むような縦走やTJARのようなレースだと思います。長さが足りず、これらが設営できなくなるので、普通のストックを使いましょう。
忍者ストラップで携帯する
このストックは折りたためないため、付属の忍者ストラップで携帯します。肩にたすき掛けです。忍者刀を提げている忍者を想像するとわかりやすいです。
練習すると一瞬でできるようになります。
これは今までの折りたたみ式のストックのように、走りながら折りたたんだり組み立てたりするスキルと同じです。
私は、従来のストックの場合、下りではなるべくストックを畳んで、ウエストベルトやザックに収納しています。大きな登りに差し掛かると、すぐに取り出して組み立てます。今後の地形を読み、あえて畳まないで手に持つという選択肢を取ることもあります。
ストックの使い方が上手いひとは、例外なく、これらの動作が速くメリハリがあります。「ストックが上手いひとはストック使い方が上手いひと」と思われがちです。ですがそれだけではなく、先述した「ストックの運用が上手いひと」でもあります。
話を忍者ストラップに戻します。
これって、邪魔になるんじゃないの? と思う方が大部分だと思います。
確かに邪魔ですが、背負ってみるとそこまででもありません。
写真を見ていただけると分かりますが、腰の横に持ち手が若干出る程度で、ストック先端部分は頭からほんの少し出るだけです。
垂直掛け。当たり判定はあまり変わりません。
このような倒木を潜らなくてはならないトレイルでも引っかかって進めなくなることはありませんでした。
問題点は、40分ほどで背中が痛くなってくることです。
斜めがけ。当たり判定がデカくなります。
写真のようにザックを挟むようにすれば痛くなりませんが、圧迫されるからか少し息苦しくなります。そもそもザックにものが詰め込まれているとこの方法はできません。
一番の問題点は当たり判定が大きくなることです。
腕振りに影響がでたり、ストックの先端が木に引っかかったりすることが多くなったりするでしょう。トレランでも格闘ゲームでも当たり判定は小さいに越したことはありません。
空身の状態は背負うのは非推奨です。最初から痛いです。しかもこの状態は揺れるしズレていきます(もしかすると、私の身体が痩躯で極端に薄いからかもしれません)。
下りで使えるテクニック
散々述べましたが、私は基本的に下りではストックを使いません。なるべく素早く収納します。
その理由は下りでストックを使うのは難しく、大抵遅くなるからです。突く場所を見定めるので、神経を使って疲労しやすいというのもあります。
もし使っている場合は、脚が故障しているときや極端に疲労している場合です。
まずストックを身体の前に突き、ふわっと着地すると、脚の衝撃が軽減できます。
2022年のONTAKE100マイルを完走したときは、怪我を抱えていたので、ずっとストックを使っていて、脚で着地する前に必ずストックを突いていました。
ニューカーブはこの動作が超やりやすいです。
また、下りで諸手で突いて身体を浮かして着地するというテクニックもあるのですが、これもやりやすくなっています。
この動作は、普通のストックでは手首の角度のせいで怖さを感じるのですが、ニューカーブでは軽減されます。自然に力が伝わり、逃げていくからだと思います。
もはや下りでもずっと使っていればいいのでは? 宗旨変えを考えるほどです。
特に、ONTAKE100やUTMBのように林道やロードが多いレースでは、ニューカーブは非常に適していると思います。
まとめ
ニューカーブは特殊な形状をしているので、ピーキーなアイテムでは? と警戒している方が多いと思います。
ですが、思いっきり逆です。
特殊なことをするストックではなく、今までの普通のストックでやっていたすべての動作がしやすくなるストックです。
初心者にほど勧めたいです。ストックってこんなに使いやすかったんだと認識が変わると思います。
最後に一言。
国内のトレイルランニングのレースでストックが使用不可のレースって多いですが、内心では、「それだと普通のランニングのレースじゃねーか!」と思ってます。ストックを使うと山感が醸し出されるのも良い点です。
ちょっと叫ばせてください。ほんとにこれが最後です。
「ストックが使えるトレランレース増えろ!!!!!」
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