ベトナムマウンテンマラソン2022に参加してきました。

こんにちは。アジアのトレイルを主戦場にしているTomohiroです。
今回は先日9月17日にベトナムで行われたベトナムマウンテンマラソンの100kmの部に参加して来たのでそのレポートをしたいと思います。

ベトナムマウンテンマラソンとは


ベトナムトレイルシリーズ(Vietnam Trail Series)の一つ(他はベトナムジャングルマラソン、ベトナムトレイルマラソン)であり、例年アジアトレイルマスター(Asia Trail Master)のシリーズ戦の一つにも選ばれている。カテゴリーも10km, 15km, 21km, 42km, 70km, 100km, 100mileと多数あり、ベトナムで一番参加者の多い大会でもある。開催地はベトナム北部にあるラオカイ州サパ(Sapa)

100kmの部について

  • 距離/累積獲得標高:106km / +5600m
  • スタート時間:8:00 PM
  • スタート&フィニッシュ地点:Topas Ecolodge
  • ドロップバック:2箇所
  • 参加資格:レース当日まで18歳以上であること。過去に50km以上のウルトラマラソンを完走していること。
  • エントリー総数:327
  • 出走:298
  • 完走:85
  • 完走率:28.5%

私の結果は・・

タイム:17時間38分18秒
総合順位:4位 男性の部:3位
女性ランナー1人に負けてしまいましたが、男性の部で入賞、セレモニーでは表彰台に立つことが出来ました!



サパ(Sapa)への行き方


ベトナム北部の主要都市ハノイからバスで6時間ほど。地理的には中国国境に近いです。他に鉄道→バスを乗り継いで行く手段もあるようです。大会が斡旋するツアーもあり、ハノイから現地までの移動(往復)とホテルでの宿泊と食事がセットになっているパッケージツアーを利用することも出来ます。2019年に初めて参加した時はそれを利用しました。少し費用がかかりますが楽なので今年もそれを利用しようと思いましたが、自分が出場を決めた時は既にどのパッケージもSold Outでした。仕方なく自分でハノイからのバスと現地での宿泊施設をWebで予約しました。

移動初日と2日目

成田空港からベトナム航空でホーチミン経由でハノイ着。成田を9時30分に出発してハノイに到着したのが現地時間の17時40分。ちなみに日本とベトナムの時差は2時間あります。ハノイから空港経由でサパまで夜間のバスも出ているので、空港で夜まで待機してそのまま早朝サパ着という移動手段もありますが、自分には体力的にきついのでそのままハノイで一泊しました。
翌日7時00分ハノイ発のバスに乗り出発。バスはほぼ満席で若干遅れたものの予定通りハノイを出発。途中2回の休憩を挟み定刻よりは遅れて14時くらいにサパに着きました。

サパ中心部の広場


ホテルにチェックインした後、アジアトレイルマスター(Asia trail Master)の代表クリス(Kris)から”tailwind”と”MUDE”というブランドのワークショップ&セミナーに招待されたので参加しました。このイベントの詳細については書くと長くなるので内容は割愛しますが、自分は簡単なスピーチと参加者からの質疑応答に答えて役割を終えました。このイベントを通してベトナムでもトレイルランニングの人気が高まっているなという印象を受けましたね。今大会の参加者全体を見ても20代30代の若い世代が多かったです。
その後は100mileのブリーフィングを覗いて、再びセミナー会場に戻ってディナーをご馳走になってこの日は終了。問題は天気。この日も終日雨が降り続き、天気予報もずっと雨予報でした。暑さ対策が必須ないつものアジアのレースと違って、今回は雨や寒さとの戦いになりそうな感じがしました。

移動3日目(レース当日)

この日は午前中はBib collection (日本で言うレース受付)。動線がぐちゃぐちゃなので並んでから終わるのに1時間くらいかかりました。。パスポートと誓約書2枚を提出してBib(ゼッケン)と参加賞のTシャツを受け取って終了です。

受付会場の様子

その後はホテルに戻りレース準備。
今回の100kmの必携品は

  1. Race pack capable of carrying all mandatory kit
  2. 1.0L liquid carrying capacity
  3. Strong head lamp
  4. Spare batteries for lamp
  5. Second back up light / torch
  6. Waterproof jacket, with hood
  7. Second top layer(long sleeve)
  8. Long trousers/tights
  9. Waterproof trousers
  10. Headwear(a hat/cap/buff)
  11. Survival blanket/space blanket
  12. Whistle
  13. Mobile phone
  14. Basic first aid kit

と大体日本の大会と同じ。以前はそれ程多くなかったのですが、2020年の中国での事故を受けてか防寒着の上下が加わった感じです。100mileの参加者はBib collectionの際、必携品のチェックがありました。(100kmの参加者にはなかったですが)

CP103(40km手前)とCP4(75km地点辺り)の2箇所にドロップバックを置けるので補給食の他に雨に備えて着替えやレインウェア、ライトの予備をそれぞれ入れました。ポールはスタートから持っていこうと思いましたが、前半は何とかなるだろうと思い、CP103から装備することにしました。
18時30分に受付した場所からスタート地点までマイクロバスが出るので、それに乗りレース30分くらい前にはスタート地点に着きました。ドロップバックとゴール後に受け取る荷物を預けてトイレに並びましたが、1箇所しかないので男性はかなり並びましたね。

レースレポート

予定通り20時に300名近くのランナーが一斉にスタート。2年ぶりに開催とあってギャラリーも多くスタートは盛り上がってました。
天気予報と違って雨は止み、暑くも寒くもなく良い気象条件。アキレス腱の調子が良くないので最初は様子見でゆっくり入りました。スタートしてすぐに右に曲がり、しばらくして急なアスファルトの道を下ってきます。下りきると田んぼの畦道に入って、そこからはもうこれまでの雨のせいで、ぬかるみがひどく、ぐちゃぐちゃでした。踏み外してコースから外れるとそこは田んぼなので慎重に走ります。先行しているランナーも見えなくなったし、こんなコースでは記録も狙えないし、この時点で表彰台とか上位を狙うという考えは止めました。無難に100kmを走り切ることだけ考えました。

畦道コースを抜けて急な登りに入り、やがてアスファルトのコースに出ました。ロードは得意ですが、傾斜がキツすぎてとても走れません。。ロードが終わると再びぬかるんだトレイルに入り、また下り切ってロード。前半はこんな感じのコースの繰り返しだった気がします。特にぬかるみのひどい上りは滑って余計に力を使いました。これなら最初からポールを持っておくべきだったと後悔。。

5時間30分近くかかってやっとドロップバックのあるCP103(40㎞手前)に到着しました。雨は降ってなかったけど、予想以上に汗をかいたので、上着だけ着替え、補給食を補充し、ポールをザックに装備してすぐ出発しました。
ここからは比較的平坦なロードが続き、タイムを稼ぎたいところでしたが、アキレス腱が気になって思ったよりペースを上げれませんでした。大体1km7分を少し切るくらい。この辺りから早朝4時にスタートした100mileのランナーを抜くことが多くなってきました。
70km地点にコース最高峰の2295mの山を登るのでそれに向けて徐々に勾配がきつくなってきます。CP2(60km)地点でエイドでベトナム在住の日本人ランナーのYさんに会い、Yさんが「なかなか良い順位で来ているんじゃない?」と言って流暢なベトナム語でエイドのスタッフに自分の順位を聞いてくれて、そのスタッフによれば「全体で3番くらいじゃないかな」ということでした。
予想外の順位に驚くと共に、うまく行けば念願の表彰圏内にいくかもしれないと少し欲が出てきました。CP3(約68㎞地点)を過ぎ、いよいよ山に入って行きましたが、思ったほどの急登はなかったものの久しぶりに使うポールの使い方が下手なのと、疲労もあってペースダウン。。
ようやく山頂に辿り着いたものの、ガスが出て景色は思ったより楽しめなくて少しがっかり。晴れていれば絶景だったでしょうね。

山頂付近からの眺め。もう少し天気が良ければ・・


上りよりもむしろ下りの方が大変で、土が赤土で滑りやすいのに加えて岩場もあり、疲労で脚をうまくコントロールできないので、全くスムーズに下ることが出来ません。このような調子なので早朝にスタートした42kmの部のトップランナーに抜かれまくり。でもここで無理してケガしたら終わりなので、スピードを出すことは諦めて慎重に行きました。下の平地まで降りるのにとても長く感じましたね。やっとロードに出た時はホッとしました。

2019年に参加した時の記憶ではここからはあと一つ山を越えるだけだったようなイメージがありましたが、CP4(約75㎞地点)過ぎてからもロードの上りが続き、そこからトレイルに入ってもひたすら上りが続きました。21㎞の部のランナーを追い抜いたり、42㎞や70㎞の部の速いランナーに抜かれたり、ごちゃごちゃして狭いシングルトラックでは渋滞することが多くなってきました。

正確な順位はわからなくても、まだ入賞の可能性はありそうなので周りのランナーが棚田の景色を眺めて写真を撮ったりして楽しんでいるのを横目に必死で走りました。

やっと最後のCP(約96㎞地点)を過ぎてあとは下りだけだと思いましたが、このロードの下りの傾斜がきつく、膝や大腿部に負担が大きすぎて全く走れません。周囲の21kmの部のランナーは後ろ向きに走ってるし。。そろそろゴール地点のTopas Ecolodgeが視界に入ってきてもいいんじゃないかと思いましたが、なかなか見えてこないので焦りました。100㎞過ぎてから残りの6㎞が長かったです。
やっとゴールが見えてきた時は本当に嬉しかった。。コロナ禍以後、全く海外にも行けなくなったし、病気で4か月も入院したこともあって、もうレースは無理なんじゃないかと諦めかけたこともあったし、やっとここまで帰ってこれたんだなと自分自身感慨深いものがありました。

ゴール!(足元は泥だらけ…)

ゴールにいたクリスに順位を聞くと「3位」とのこと。(総合では4位でしたが)最終CPでは2位との差は僅かだったらしく、「惜しかったなぁ。」とも。最後もう少し頑張れば良かったか・・と思ったけど向こうはサポートもいて万全の体制だったのでアウェイの自分としては仕方のないところ。でも3年前には出来なかった入賞が今回は出来て嬉しかったです。

ゴール地点のTopas Ecolodge

終わりに

ベトナムマウンテンマラソン良い所

  • アジアのトレイルでは珍しく景色が楽しめる(標高2000mからの景色、棚田など)
  • 運営はしっかりしている。
  • エイドは比較的充実(コーラ、バナナ、スイカ、メロン等の果物、地元の食べ物etc.)
  • 暑くもなく寒くもなく走りやすい気候
  • カテゴリーが多く自分のレベルに合わせて選べる。

マイナスな点は

  • 遠い。移動に時間がかかる。
  • 雨が降るとコースがぬかるみやすく、全体的に気持ちよく走れるところは少ないかも。

といった所ですが、アジアのトレイルでは比較的参加しやすく、機会があればお薦めです。

TomohiroTomohiro

Tomohiro

高校&大学と陸上部に所属。卒業後もトラックの1500mからロードの100kmレースまで一通りこなした後、トレイルランニングの世界へ。国内の主要なレースを経験した後、暑さに強いのと耐久力を武器に2018〜2019年はアジアトレイルマスターシリーズのレースに参戦、韓国、フィリピン、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナムなどの国々のレースに参加。2018年はシリーズランキング3位、2019年は4位

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


TOP