練習方法公開 〜どうやって信越五岳100mileで優勝したか〜

信越五岳トレイルランニングレースが久しぶりに開催されます。
2019年大会で優勝することができた筆者が、どのようなトレーニングをしてレースに臨んだか、参考にしていただければと思います。

信越五岳2019前の練習 数値のみ

5月 走行距離142km 山での練習は計1日 累積標高500m
6月 走行距離339㎞ 山での練習は計2日 累積標高4500m
7月 走行距離494㎞ 山での練習は計5日 累積標高9100m
8月 走行距離541㎞ 山での練習は計9日 峠走(ロード)3日 累積標高21833m
9月第1週(8月最終週) 走行距離89㎞ 累積標高2000m
9月第2週 走行距離65㎞ 累積標高700m
9月第3週 レース前5日間で走行距離39㎞ 週末:信越五岳100マイル

5月

UTMF2019を8位完走し、疲労が残っていたためか、胃腸風邪をひいてしまいました。
胃腸風邪が治ったと思ったらまた風邪をこじらせてしまい、5月はまともな練習をすることができませんでした。
入賞したおかげで気持ちは前向きだったものの、体がついていきませんでした。

筋肉などは走ってみれば回復具合がわかるのですが、内臓系はわかりにくいのです。
内臓にダメージがきてる、と自覚したときにはかなり深刻な状態なのかもしれません。
焦って戻さずに、風邪を完全に完治させてから、徐々に筋力や心肺機能を戻していこうと思いました。

6月

UTMFに向けての練習を始める前、完全に疲労を抜いてリフレッシュさせたことで、その後の練習が継続できました。

そこで、6月第2週まで思い切って休みました。
練習を再開してからは、それまで貯めていた「走りたい」という気持ちをつかって前向きに取り組めました。

7月にはOSJおんたけ100㎞にエントリーしていたので、まともに走って完走できるだけの体に戻すことを主なテーマにしました。
しかし、暑熱順化していない体でいきなりUTMF前のような70㎞山ロング走など不可能ですので、平日は坂ダッシュで筋に負荷をかけつつ、週末は水場のある入道ヶ岳(標高900m・累積700m)を3本ビシッと走る、という形にしました。

ポイント練習(平日)

☆坂ダッシュ(250mで25m上る坂)×10 ※70秒で上り、2分かけて下る
☆1周1.4㎞のクロスカントリーコース5~7周 平均ペース5’50/km

ポイント練習(休日)

☆入道ヶ岳(標高900m・累積700m)×3 行動時間4時間25分 走行距離18km 累積標高2000m 平均ペース14’44/km
☆入道ヶ岳×3 行動時間3時間42分 走行距離14㎞ 累積標高2000m 平均ペース15’44/km
※同じ山でも距離や時間が違うのは、ルートを変えているためです。

7月

おんたけ100㎞に出場しましたが練習不足のため、前半で腕がふれなくなりました。
6月の練習コースの入道ヶ岳は走れるコースでないため、事前の練習内容がミスっていたと思います。
おんたけで結果を残そうと思ったら、ロードや峠でのスピードを上げた距離走が必要です。

OSJおんたけ100㎞が終わると、信越五岳までレースはありません。

おんたけ100㎞で得た課題は「走れる山に適応できていない」です。
しかし暑い中で距離を踏むとダメージが残ります。

そこで練習の距離と時間を抑えつつ、強度を上げていくことにしました。
週末の練習ボリュームが減るので、その分、余裕のある平日にもポイント練習を行いました。

養老山脈や伊吹山で暑くても意外と距離が踏めているのは、冬に行ったutmfに向けての練習で山のロング走の耐性がついているからだと思いました。

レース

☆OSJおんたけ100㎞ 9時間40分 6位

ポイント練習(平日)

☆ロード1km×10 run3’30(rest1’)
☆ロード15㎞ ペース4’15/km+100mダッシュ×16
☆坂ダッシュ(250mで25m上る坂)×10 ※70秒で上り、2分かけて下る
☆石津御岳山バーチカルナイトラン18km 計2時間30分 累積標高1500m ペース10’45/km

ポイント練習(休日)

☆平坦ロード21㎞走 4’15/km
☆走れる山練習(養老山脈トレイルのコース)42㎞ 5時間30分 累積標高1174m ペース7’49/km
☆歩く山練習(伊吹山)2.5本 32㎞ 6時間20分 累積標高3000m

8月

8月はお盆休みもあり、山の練習を多く取り入れることができました。

暑さのこたえる低山(多度山、鈴鹿山脈)では、ダラダラ練習するとあきらめてしまうと思い、
「3本ぜったいに完走する」
「3往復の3本目はタイムトライアル」
と決めて取り組みました。

夏の下界では「量よりも質」です。
「土曜日5時間、日曜日5時間、どちらも山」というバックトゥバックも試しました。

7月でも感じた「UTMF前の練習の成果」がここでも発揮され、「5時間+5時間」も完走することができました。
いきなりやるとケガのリスクもあるので、いきなりはおすすめしません。

他には、北アルプスと南アルプスに誘ってくれた山仲間のおかげで、高地で長い距離を走ることができました。
3000mまで登れば涼しく、低酸素のおかげでペースが上がらないのでダメージも少なめです。

100マイルでは「長い時間行動すること」に慣れていなければならないので、ゆっくりでも長い時間動き続ける経験は必要です。

ポイント練習(平日)

☆トラック12000mビルドアップ4’00→3’25/km 平均ペース3’43/km

ポイント練習(休日)

☆走れる山練習(養老山脈トレイルのコース)44㎞ 5時間19分 累積標高1500m ペース7’12/km
☆多度山周辺33㎞ 4時間52分 累積標高2000m ペース8’51/km
☆多度山周辺47㎞ 5時間50分 累積標高2600m
☆歩く山練習(伊吹山)2本 23㎞ 5時間24分 累積標高2300m
☆北アルプス42㎞ 約10時間 累積標高3260m ペース18’03/km
☆南アルプス63㎞ 9時間55分 累積標高3779m
☆峠走(登り9km)×1 23㎞ 累積標高700m
☆入道ヶ岳3本 3時間28分 累積標高2000m ペース13’22/km

9月

8月にたくさん山を走れたおかげで、精神的に余裕をもって9月を迎えることができました。
あとは疲労を抜きつつ体を仕上げるため、週1回の山練習をポイント練習にして、平日はjog+流しにしました。

☆9月第1週(8月最終週) 入道ヶ岳×2 10㎞ 2時間18分 累積標高1300m
☆9月第2週 入道ヶ岳×1 6㎞ 1時間16分 累積標高700m
☆9月第3週 レース前5日間jog+流し 計39㎞ 週末:信越五岳100マイル

まとめ

秋の信越五岳大会に向けては夏のトレーニングが重要になります。

冬のトレーニングと同じ量を踏んでしまうと暑さで疲労・ダメージが残ります。
その分、夏は気温が高いので、アップを短めにしてすぐに強度を高めることができます。
冬の「質より量」を経験しておくと、夏の練習量が少なく感じられます。

UTMFに向けてのポイント練習は7~8時間でした。
信越五岳に向けてのポイント練習は5時間ほどですので、熱中症さえ気をつければ気楽に取り組めます。
高地での練習は、気温の心配が少なくなるので、やれるに越したことはないです。

これから信越五岳に向けて仕上げていく方や、今後100マイルに挑戦される方、参考にしていただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

末脚トレイルランナー末脚トレイルランナー

末脚トレイルランナー

末脚トレイルランナーです。できるだけ細かくトレイルランニングレースの攻略法を紹介していけたらと思います。 主な戦績:2019信越五岳100マイル優勝 2019UTMF8位 2018奥三河パワートレイル優勝 2018比叡山トレイルランニングレース50㎞の部優勝 ハセツネCUP7位(2015,2018)6位(2016)

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


TOP