【究極の根比べ】Big’s Backyardultraレースレポート Part.1

どうも、だーまえです。
今回は自身が参加してきた「Big’s Backyardultra」というレースの参戦ブログとなります。
過去2023年にもこのレースに参戦し、今回で2度目の挑戦でした。
過去の経験も踏まえ、Part.1はレースの振り返り。
Part.2はバックヤードウルトラに向けての準備とトレーニングを紹介する、2本立てとなります。(予定)

Photo by 野田 倖史郎/Projrct As Far As Possible https://www.instagram.com/afap_ultrarunning/

このブログを書くことができるのも、レース参加にあたり多くの方のご支援あってこそです。
この場を借りて感謝申し上げます。

まずバックヤードウルトラという競技をご存知ないという方は以下のブログを参照いただけましたら幸いです。

今回参加した「Big’s Backyardultra」はバックヤードウルトラの世界選手権です。
2年に一度、この競技が生まれたアメリカ・テネシー州、創始者であるLazの自宅にて開催されるこのレース。
世界60ヵ国以上から選手が集まり、バックヤーダーの世界一を決めます。

世界中から負けず嫌い(変わり者)が集まって鎬を削り合うレース、当然何も起きないはずはなく。。。

ここからは参加者目線でエピソードを紹介していきます。

レーススケジュール

Photo by 野田 倖史郎/Projrct As Far As Possible https://www.instagram.com/afap_ultrarunning/

アメリカでのレースということで日本から渡航するのにお金も時間もかかります。
以下参加スケジュールをご紹介します。

10/14(火) 日本出発⇨アメリカ・テネシー州:ナッシュビル国際空港へ
(フライト時間:約20時間 ※トランジット含む)
10/14(火) 13:30 現地到着、空港近くのホテルで1泊
10/15(水) 7時頃 同宿のベルさん夫妻と空港で合流⇨レンタカーを受け取り朝食&スーパー散策
       14時  Lazの自宅訪問・コース試走(日本チーム全員と顔合わせ)
       その後AirBで予約した宿へ(この宿は10/15〜25まで予約)
10/16(木) 午前中仕事/買い出し
10/17(金) 9:00 会場設営
       終了後昼食&買い出し/自宅に戻りサポートと打ち合わせ
10/18(土) 7:00 競技開始 
10/20(月) 19:00 前田競技終了 
10/22(水) 19:00 ベルさん競技終了 
10/23(木) 10:00 拠点片付け/終了後スーパーで買い物と昼食
10/24(金) 9:00 Barkley Marathons会場訪問/観光
10/25(土)  終日リカバリー
10/26(日) 10:00 AirBチェックアウト⇨ナッシュビル観光
10/27(月) 6:50 ナッシュビル出発:日本帰国 
      (フライト時間:約24時間 ※トランジット含む)
10/28(火)  20:00 広島空港到着 

競技の特性上、いつ終わるかわからないという点が判断を難しくさせますが、上記日程であればレース終了後、余裕を持って過ごすことができました。
とはいえ日本と比べて物価が高いので宿やレンタカーを複数人でシェアすると節約になると思います。
今回は日本から7人の選手が参加したため、何名かずつでグループを作り行動しました。
私はサポートの森長さんと、サポートのサポートの首藤さん、そして選手のベルさんこと河畑選手とそのサポートの由美さんの計5名で行動していました。

AirBであれば一軒家を丸々貸し切れるので大人数での宿泊にはオススメです!
調理器具なども揃っていて自炊可能、部屋も広く使えて自由度が高いためです。

今回借りた宿の写真です。アメリカの家はデカい!!!

会場・コース、競技特性について

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Big’s Backyardultraの様子はYoutubeでもLive放送されているのですが情報が少ないのも事実。
会場についても個人宅なので住所などは公開されていませんw(当たり前っちゃ当たり前)

今後参加する選手、サポート、そして観戦する方にとってもイメージを持ちやすいよう、公開可能な情報に限定されますが紹介させてもらいます。

会場レイアウト

会場レイアウト

赤文字の「Corral」というところが選手がスタート前に待機する場所です。
鉄製のゲートがあり、そこには「There is No Finish」と書かれていますw
最高に皮肉が効いていますねw

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Corralの両サイドにはテントが構えてあり、各選手が使用可能なスペースを与えられています。
ただ省スペースなので常時物を置いておくことはできず、あくまでも応急処置的に利用するサポートスペースとなります。
このスペース以外に番号が割り振られた区画があります。
3m×3mのテントで、このスペースを2人の選手でシェアすることになります。
つまり1.5m×3m。狭いようですが日本から持ち込める荷物のことを考えれば十分収まる大きさかと。

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テントをシェアしている様子。今回は小松選手とシェア。

テントの場所については選手のPB順に選択権が与えられます。
世界ランキングトップの選手から順位選んでいき、2名で埋まった場所は選択肢から外れていきます。
特定の人物とテントをシェアしたい場合は2名のPBの平均をとり、選択順がきまります。
今回で言うと前田83Yard,小松選手75Yardの平均79YardをPBとして選択権が与えられます。

たまたまですが日本人選手が固まったことで意思疎通や、物品nの貸し借りがスムーズだった印象があります。
また、日本語を理解できる選手はほとんどいませんでしたが、言語によっては作戦など他の選手に知られたくないというケースもあるので、それらを加味して選択する必要があるかと。

基本的にはゲートに近い、周りの騒音から離れている、トイレが近い、などが基準になります。

前回チャンピオンのハーヴェイ・ルイスは手前のテントが空いていたにもかかわらず前回のテントと同じ場所を選んでいました。
おそらく源担ぎ的な意味があるのかと。

コース

国内で行われているバックヤードウルトラにはない特徴として、日中と夜間でコースが切り替わるというルールがあります。
以下コースと標高図の画像を貼りますのでご確認ください!

Day Loop

最初にロードのピストンが入った後は、Lazの裏庭であるトレイルを走ります。
林道とかではなく純粋なトレイル。シングルトラックがほとんどで前に行こうと抜かすときに力を使うので、可能ならトレイルに入る前に前の方に位置しておくほうが楽にコースを進めます。
大きく登るわけではないのですが細かなアップダウンが続くコースです。

サーフェイスは土、岩盤、ガレ場。気を抜くと転倒や捻挫のリスクがあり、集中力が落ちてくると危険も高まります。
ちなみにトレイ事情ですが、コースの中に公式からおしっこOKの箇所が設けられていますw
女性に配慮?してブルーシートで目隠しもされていますw

なお、うんちは厳禁!w
Laz曰く「お前たちは自分の庭にうんちされて許せるのか?」とのこと。
おっしゃる通りですわw

Night Loop

Night Loopは全てロードで、めちゃくちゃ単調なコースです。行ってこいのコースで牧場とトウモロコシ畑の間を抜けていきます。
多少のアップダウンはありますが、全て走れる斜度。街灯もなく、抑揚もないコースなので眠気との戦いになります。

幸い選手のすれ違いが発生する部分で互いに声をかけられるので、そこが目を覚ますチャンスですw
最初に下ったロードが帰りには壁のように感じる斜度となる。それがバックヤードの恐ろしい所。。。

競技特性

基本的なルールはバックヤードウルトラ共有のルールに則っていますが、Lazはとてつもなくルールに厳しいです。
ルールの紹介をしつつ、過去に失格となった事例を紹介します。
Big’s Backyardultraで個別にアナウンスされているルール
・Day Loopは7:00〜18:00/Night Loopは18:00〜7:00で切り替わる
・スタートのベルが鳴るタイミングでCorralの中に入っていないと失格(数秒遅れてのスタートの禁止)
・トイレ以外でコースを外れることを禁止
・トレッキングポールの禁止
・ループを終えるまでサポートからの助力は一切禁止(物理的なサポート)
・電話等でサポートと意思疎通はOK
・選手間で水や補給の受け渡しはOK
・サポートは選手1名に対して1名のみ会場に入れる(会場スペースの関係上)

・トレイルではイヤホン禁止、スピーカーで音楽を流すのはコース全般で禁止

思いつくのは上記のような所です。
当たり前の内容もあるのですが、これを自分ルールで拡大解釈して失格になるパターンがいくつかありました。
例えば、
・計測チップ(アスリートビブ)を自分のテントに忘れてしまったことにスタート直後に気づいたので、取りに行ってからスタートした。
というパターンです。
これで一発失格となります。イエローカードありません。

サポートを受けたわけではないにしても、コースを外れて自分のテントに戻るという行為はルール違反になります。
恥ずかしながら私も計測チップを忘れてスタートしてしまいましたが、2023年に上記の違反で失格になった選手がいたことを知っていたため、スタートして30mほど進んだところで確認をしようと踵を返した瞬間Lazから、
「Go!!Don’t come back!」と怒鳴られましたw
結果的にそのまま進みコースを完遂したところで計測チップをつけていない状態で走ったことを詫びたら、
「何の問題もないよ、やめる必要もないから安心しろ。」と回答がありました。
その後会場アナウンスでビブやチップを忘れて走っても問題ないが、テントに戻ると失格になるとのアナウンスが再度流れていました。

他にも

・時間内にコースをほぼ完遂した(ゲート付近まで帰ってきた)けれど、ゲートを潜らずに自身のテントに戻ってしまう
というものです。

テントの場所によってはゲートを潜った後に引き返す動きが発生することもあり、その場合ついつい無意識にショートカットしてしまいそうになる気持ちはわかります。
ただこれは明確なルール違反で、力のある選手でも失格になっていました。

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これはDay Loopなのですが、ゲートのところで踵を返している選手がいますね。
この人たちは手前にテントがあるので、このゲートを潜らずにテントに向かうと失格になります。

Lazは難しいことを強要しているわけではないです。
当たり前のことを守って、全ての選手が平等にレースに集中できるようにルールを定めているのですが、不注意やちょっとくらいいいだろという甘えに対して厳格に対処している印象です。

英語がしっかりヒアリングできる方であれば問題ないかと思いますが、予備知識として頭に入れておくと万が一の時に対処できるかと思いましたので紹介させてもらいました。

レースの振り返り

ここからは時系列でレースで起こったことを振り返っていきます。
とはいえ同じコースを走っているのでそんなに面白いことは発生しません。
見られるのは人が壊れていく様子だけです。
ヒューマンドラマのような綺麗なものではありませんが思い出せるものを紹介していきます。

Day1

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10/18(土)7:00スタート 最高気温28℃/最低気温16℃

レース当日、突然鳴り響く「PayPay!!」の爆音に目を覚ます。
知らない目覚まし音だ・・・などと感慨に耽ることもなく、時刻を確認する。
2時50分。起床予定時間は4時30分のはずだった。
なぜPayPayしたのか。なぜWAON!じゃないのか。
音を鳴らした張本人、同部屋で寝ていたサポートの森長氏の威厳のため詳細は差し控えたいと思う。

結局そこから寝られずに4時30分を迎え、最高にご機嫌な朝を迎える。
朝食をとり、レースの準備に取り掛かる。
ベルさんと談笑しながらたらふく炭水化物を腹に押し込め、5時30分宿を出発し、6時前に会場入り。

当日持ち込んだ荷物を下ろし、荷物を片付け、テーピングをしてもらう。
そして徐々に日が昇る。

受付で計測チップをもらい、どこにつけるか一悶着あったものの、無事にスタートラインに着くことができた。
これからしばらくの間、ゆっくり寝ることも、ゆっくりご飯を食べることも叶わない。
代わりに好きなだけ走り続けることは許されている。
死神を背負いながら。

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レース初日、 Day Loopは52〜54分でとにかく楽に、無理なく走る作戦。
ただこの日はかなり気温が上がり、夜には雨が降る予報。
予報通り28℃の気温の中で動くとかなり汗をかく。
氷を首に当てながら走ったり、アイスを食べたりしながら体に熱を溜めないよう意識する。

1周目は歩きを多めに入れて、最後尾で動いてどのぐらいの時間か確認する。
ほぼお散歩感覚で57分台。サポートをゆっくり受ける時間はないが、最初なので特に問題なし。

その後は52〜55分程度で体に負担がかからないようとにかく抑えて走った。
周りの選手の様子を確認する余裕もある。
まだみんな元気。とはいえトレイルが苦手そうな選手は走りを見れば大体わかる。

暑さにやられて元気がない選手も見受けられたが、全体的にはまだまだ熱気ムンムン。
疲れを顔に出す選手はほとんどいない。

Night Loopに入る前、着替えをしたのだが、前述した計測チップをつけ忘れてしまいまぁまぁ焦る。
とはいえ過去事例でそのまま走れば問題ないとのことだったので気持ちを切り替えてのほほんと走る。
綺麗な夕焼けを眺め、随分と贅沢な遊びをさせてもらっているなぁと再認識。

夕焼けに心洗われた後変な生き物が道路を横断している。
アルマジロだ!!
これは撮影せねばとスマホを取り出す。

道路脇に逃げようとして金網に引っかかり身動きが取れなくなっているアルマジロ。
この殺伐とした変化のないロードに舞い降りた天使。
それ以降レース中にアルマジロに会うことはなかった・・・

なお、計測チップ忘れもお咎めなしで無事にレースを継続できたので、淡々と走っていく。
初日の夜は眠気も強くないと踏んで、48分前後で走る作戦にした。
走っている時はお気に入りのPodcastを聴きながら走る。

今回のお供は「安住紳一郎の日曜天国」だ。

Night Loopは余裕があるのでしっかり目にケアと睡眠に時間を割くことができる。
ケアをしてもらった際には気がかりなポイントを伝え、マッサージや鍼を打ってもらう。
サポートの森長氏は鍼灸師なのでこのあたりはお手の物。
日頃のケアから身体を診てもらっているので、変化の機微に迅速に対応してくれる。

ドラクエに例えるなら僧侶(森長氏)によるホイミ(治療)をかけながら毒沼を進み続け、スリップダメージに耐えられなくなるまで旅をする、そんなところだろうか。
問題はこの毒沼がどこまで続いているかわからないのと、スリップダメージに強弱があること。

さて、しょうもない例えをしたところで早速スリップダメージが大きくなるイベントが発生。
雨である。

日を跨ぐごろに降り出した雨は徐々に雨足を強くし、24時間を経過するころには土砂降りに。

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雨自体は想定済みだし、さして問題はないのだが着替えの計算、シューズのサイクルの計算などを考えると精神的に疲れる。
あと単純に濡れている状態というのは気持ちのいいものではない。

スタート以来ずっと上半身裸で走っていた海外勢もたまらずレインを着るほど。
終いには拠点のテントが雨と風で崩壊しかけるほど。

選手だけでなく、サポートにとってもハードな一夜となったがこの雨が翌日にも大きな影響を残すことに。

Day2

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10/19(日) 最高気温19℃/最低気温4℃

24時間が経過し、Day Loopが始まる。なのでシューズを履き替え2日目のスタートを切ったのだが、折り返しポイントをスルーしてロードを進み続ける他の選手たち。

日本人の数名が「どういうこっちゃ」とキョロキョロしている。
後ろから来た他の選手から雨でトレイルが使えないからNight Loopを継続するとの説明がありようやく合点がいった。

ということでラッキーなのかアンラッキーなのかロードパートを継続することになった。
日本人選手の中でも意見は分かれて、トレイルの方が疲労を分散できるのでそちらの方が良かったという意見と、シンプルに楽だからロードの方が良かったという意見だ。

私は前者で、トレイルパートの方が得意なので雨が降って不安定なコースの方が自身にとって有利になると踏んでいた。
だが運営判断。こればかりは仕方がない。
そもそも雨が降った後の庭に何十人もの人間が足を入れるとたちまち庭は崩壊することだろうw

驚きはあったがやることは変わらないので淡々と歩を進める。
日本選手の中でも疲れや眠気を訴える選手もいる。

中でも田中選手は前日のトレイルパートのダメージがあったようでかなり疲労している様子。
ミチタロウ選手は睡魔にやられてしんどそう。

24時間経つまでに何名かの選手が辞めていたが、中でも世界ランキング2番のSam Harvey選手と、3番のLukasz Wróbel選手のリタイアには少しざわめいた。

それだけの実力者でも時には早々に走れなくなってしまう。それがバックヤードなのだ・・・

午前中は雨が降ったり止んだりで不安定な天気だったが午後からは青空が見えるように。

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結局2日目の日中は全てNight Loopで行うことになる。
時間の余裕ができるのでケアや睡眠に時間を使ったが、同じ箇所を使い続けるため鈍い痛みが蓄積する。

夜に入る直前のLoopで田中選手がタイムオーバーでDNFとなる。
最後間に合うと思っていたが首が攣ってしまったと話していた。
後日談で親類に報告したら、「首を吊ってしまった」と伝わって大事になりかけたらしいw
確かに間違えてもおかしくない事案だし、首が攣るというのは珍しいw

ともに初めて参加したバックヤードで優勝を争った田中選手の最後の粘りを見て、気持ちが高まったのを感じた。
ただまだまだ先の長いレース、気持ちに左右されないように心がける。

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二晩目ともなると眠気が強くなってくる。しかも気温が下がり動きも鈍る。

基本は一人で走るスタイルなのだが途中女性ランナーペースが合いと会話になった。
Sarah Perry選手。今回女性の世界記録を更新し95時間走った選手なのだが、小柄で美人、そして笑顔が素敵と来たもんだ。
彼女は寒さに弱いらしく眠くなるから誰かについて行きたいとのこと。
私の臆病な自尊心が顔を覗かせる。

男というのは単純で扱いやすい生き物だ。
ちょっと頼られれば、ペーサーでも風除けでもなんでもござれと前に出る。
その後私以外の数多の男性が彼女を取り巻き前を引いている様子を見た。

なんちゃら騎士団とはこのことか。
知らぬ間に足を踏み入れていたこと、そして渦中にいればその事実に気づかないことに驚愕した。

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その後眠気に耐えながら蛇行し、畑に落ちながら走る時間が続いた。

前の方で人につこうと走っていると前に平田選手とベルさんが知らない海外の選手と走っている。
そして平田選手とその海外の選手が何か話している様子だ。

ベルさんに追いつき誰と話しているのか聞いてみるとウルグアイの選手でジョナタンというらしいのだが、英語が話せないとのこと。
では、平田選手は何語で会話しているのだろう?

そう。博多弁だ。

博多弁とスペイン語の異文化コミュニケーション。
お互いに言いたいことを母語で話し、頷き、走る。

言葉は発しているがノンバーバルコミュニケーションなのだろうか。

彼らはそれで通じ合っているのだから外野がとやかくいう必要はない。
と、書いている最中に、このエピソードがこのタイミングだったのかさえ定かではない。
時間軸が曖昧なのもバックヤードのいいところ。

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深夜にかけて、私自身は眠気が強くなり失速する。
できればカフェインは取りたくなかったので我慢していたが、夜明けの3時間前に耐えかねて楽しみにしていた「トモノウコーヒー」のドリップバックを一杯いただく。
うまい。そして最高に目が覚める!

次の周をサクッと48分で走り、夜明けからのトレイルに備えて準備を進める。

Day3

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10/20(月) 最高気温22℃/最低気温6℃

日が昇り眠気は覚めるが2日ぶりのトレイルパートに戦々恐々。
不安は的中し、最初のDay Loopでいつもの感覚で走っていると後半、間に合わない可能性がちらつく。

最後尾の方から聞こえる「Harry up!」の声。
余裕を持って走っていては間に合わないかもしれない。
死神の気配を感じる。

次の周回でベルさんと一緒になり、思ったよりも進みが遅くなっていることについて話す。
ベルさんも同じように感じたらしく、少し前の方で様子を見てみることに。

後ろと比べても歩きが少ないとかではなく、単純に走っている時のスピードが少し早い。
これなら問題なくついていける。

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歩くと眠いので走るように心がける。
小松選手が徐々に遅れるようになりしんどそうな様子。
結果54Yardで終了となった。
同じテントメイトとして姿を見ていたので、彼の分もしっかり走り続けようと覚悟した。

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かたや平田選手は上裸で元気いっぱい。かなり前の方でレースを進めている。
私とベルさん、森下選手、ミチタロウ選手は同じぐらいのところで走っていた。

少し疲労もあるのでサポートにマッサージをしてほしいと話すが、帰ってきてもそこまでの時間がない。
「52分で帰ってきて!!」と言われ
ネテロ会長と同じように「それができれば苦労はしねぇ!‼︎」とイラっとしたことを覚えているw

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ベルさんとペースを合わせて走っていた最中アクシデントが発生する。
右足の親指をトレイル上の岩に強打し、下りでペースを上げて走れなくなった。

思わぬ誤算。集中力を欠いてしまった。
とはいえまだ脚は残っている。幸い登りはまだまだプッシュできる。

トレイルの下りは歩きがメインになってしまったが、マイナスを登りで取り返しつつ走るが徐々にジリ貧に。

56周目には58分30秒を超えて帰ってくることに。
いよいよ余裕がない。補給だけ受け取りスタートを切る。
痛めた部分のケアに時間を割くことはできない。

57周目を計算しながら走っていると調子が良かったはずの平田選手がいる。
どうしたのか尋ねると、
「トイレに行くために飛ばしたら調子を崩して・・・」と後半何を言っているかわからない解答。
いや、これは私の認知機能がバグっていただけかもしれない。

いずれにしてもこのままじゃ間に合わないから一緒に行きましょうと提案。
フラフラしながらもついてきていた平田さんだが、ここで走らないと間に合わない、という場所まで来ると急に加速し始めるw

帰巣本能がすごいという話をベルさん、田中選手としたことがあるのだが、まさにそれであった。

急に覚醒し、見えなくなるぐらい先まで走っていってしまう。
遅れまいと飛ばすのだが下りがどうしても走れない。

57周目を58分56秒
58周目を59分28秒

いよいよ余裕がなくなってきた。
いずれも後半平田選手と一緒になって、一緒に帰ってきた。

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平田選手は補給を急いで詰め込んでいたらしく、サポートの奥様から水を手渡される横で

柿ピーを浴びていた。(膝下に散らばる柿ピー)

なんならこのサポートを受ける前に、サポートとすれ違いを起こして

「嫁はどこやー!」

という名言も残している。(他のサポート談)
ただ走っているだけなのにこんなにおもろい人が他にいるだろうか。いや、いない。

私はというとなんの面白みもなく、水を補給してもらったら補給食を手渡してもらえればなんとかなると謎の余裕を見せていた。

ただあまりにも痛みが強く、下を走れないので59周目をスタートしてすぐに靴を脱いで、靴下を養成したり紐を締め直したりした。

そこにLiveカメラマンたちがきて、大丈夫だ。まだ間に合うと声をかけてくれた。
そして、お前がチャンピオンだ!という打ち切り漫画のフラグみたいなセリフもw

少し時間は食ったもののまだいける。
冷静を装って走るもあまりにも強く痛む足に耐えかねて涙をこぼしながら走る。
どうせ一人。当分人に会わないからと嗚咽に塗れて走っているとリタイアした選手と遭遇w

もうここまできたら羞恥心も何もない。
走れるところは全力で走り続けた。

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するとまたしても平田選手がフラフラしながら走っているではないか。

私が抜いたら最後尾、それも時間的には相当厳しい。

声をかけても要領を得ない解答(お決まり)なので、とにかくついてこいと告げて走る。

平田選手は何か遠くで叫んでいたが、必死についてきてくれる。
足音が遠くなりそうになれば声をかける。

平田選手がもう間に合わん、と何度も声を上げた。
私はそうは思わなかった。

ギリギリ間に合う。通過時間を計算するとかなり厳しいが、最後走れればギリギリいける。

二人の足音だけが夕暮れの裏庭に響く。

トレイルを抜ける手前で1分前の笛の音が響いたとき、間に合ったと確信した。
一方後ろで「もう間に合わんって・・・」と平田選手は言うw

ゲートに飛び込み、すぐに踵を返してスタートする。
残り時間は13秒だった。

興奮冷めやらぬままスタートを切り、他の選手と会話で盛り上がったのち現実を突きつけられる。

走りのペースが全く上がらない。
走ってはいるのだが9’00/kmより遅い。
早歩きぐらいのペースだ。

痛みはあるがそれが原因ではなく、先ほどのLoopを終えるために無理をしすぎたのかもしれない。
股関節が軋んでスピードを上げても維持できない。
体は傾き、背筋は反り返っている。

今までにない体の変化に戸惑いながらも、Night Loopなら時間内に帰れるかもしれないと走りと歩きを繰り返す。

ただどう考えても間に合わない時間になってしまった。
それは平田選手も同様だったようでともにレースを終えることになった。

記録は59Yard。
目標には届かなかったが後悔のない走りができた。

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後日談

同じ59Yardで平田選手もDNFとなった。
タイムオーバーで歩いて帰る途中、目の前に星が飛んでいると話だし、宇宙と交信し出したかと思えば、

迎えにきた運営のアメリカ人の方に対してまたしても博多弁炸裂。
「寒いから上着ちょうだい。ジャケット。それちょうだい!」

彼はなんて言っているのかと聞かれるので、雑な通訳をするも止まらない博多弁。困惑するアメリカ人。

これ以上困らせてはいけないと、中学生レベルの英語で受け答えする。
「He is comedian! He said joke!」

これも全部幻覚だったのだろうか・・・

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他の日本人選手の成績も紹介すると

ミチタロウ選手:65Yard/バッグマンの愛称でここBigsでもインパクトを残す走り。
海外の選手に積極的に話しかけ、時には通訳までになってくれるナイスガイ!
30代に入ったばかり、これからの活躍が楽しみな選手。
次のステップも応援しています!新婚生活も大切に!!w

ミチタロウ選手が立ち上げているプロジェクトチームで撮影された写真を今回使用させていただきました。
https://www.instagram.com/afap_ultrarunning/

上記リンクより確認いただけますのでどうぞご覧ください、

Photo by 野田 倖史郎/Projrct As Far As Possible https://www.instagram.com/afap_ultrarunning/

森下選手:74Yard/私の知っている選手の中で1番の負けず嫌い。
今回のレースでも負けず嫌いは健在。きっと悔しい思いをしたことかと。
次の舞台でどんな走りをしてくれるのか楽しみにしていますよ!

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ベルさん:106Yard/レースが終わって開口一番、悔しい、120Yard行けるはずやった。との言葉にそこ知れなさを感じた。
驚異的な回復力と不屈の精神力。アジア記録を更新してなお、満足しない貪欲さ。
次回のBig’sでは120Yard、それどころか6日間走ってくれるんじゃないだろうか。
同じ宿で刺激をもらえたこと、この場を借りて感謝申し上げます。
そして世界中が見ていたLiveでのチ◯ポジ発言、謝罪いたしますw

Photo by 野田 倖史郎/Projrct As Far As Possible https://www.instagram.com/afap_ultrarunning/


同じところを走っているから対して変化はないし、すぐに書き終わるだろうと甘く見ていた自分をぶん殴りたい気分です。全然書き切らんやないか!

ここに書けなかったエピソードもたくさんあります。
直接お会いした方はぜひお尋ねくださいw

今後日本からこのBig’s Backyardultraに参加する方、もしくはその舞台を目指す方にとってお役に立てたら嬉しい限りです。
Part2.はバックヤードウルトラに役立つ情報を交えて準備について記させてもらいます。

【トレーニング・準備編】Big’s Backyardultraレポート Part.2

だーまえだーまえ

だーまえ

広島生まれ、広島育ち、広島在住のINNER FACT社員。 学生時代は陸上競技で短距離を、社会人になってからはマラソンを経てトレイルランに没頭。 好きな漫画は「BLEACH」。得意なゲームは「ポケモンスタジアム金銀」。 夢はBarkley Marathonsを完走すること。

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