2022年7月16~17日に開催された「ONTAKE100」走ってきました。
コンディションとしては、脚の怪我が完治しておらず、いつ再発してもおかしくない状態でした。公園でリハビリを兼ねたウォーキングをしていると、健康目的で散歩しているおじいちゃんに抜かされるほどです。
これはマジで危機的状況だと察し――
「僕はおじいちゃんである。でもおじいちゃんなりに戦う方法があるはずだ」と認識を書き換えました。
なので必然的に狙いは「制限時間ギリギリの完走」になりました。
結果は、戦略が上手くはまり、制限時間の20分前に滑り込めました。
その戦略を過程を交えて書いていきたいと思います。
完走を目指す方の参考になれば幸いです。
目次
コース概要
このレースは100キロ部門と100マイル部門があり、100キロ部門で14時間以内で完走すると100マイル部門への出場権利がもらえます。
筆者は2019年に11時間半ほどで完走しています。20、21年も100マイル部門にエントリーしていましたが、コロナ禍で中止になってしまいました。よって3年ぶりの開催で、ようやく出走することができました
・100キロ部門
距離:104km
累積標高:2600m
制限時間:20時間
スタート時間:7/17 0:00
・100マイル部門
距離:162km
累積標高:4000m
制限時間:24時間
スタート時間:7/16 20:00
このレースは御嶽山の周辺の山腹に張り巡らされた林道やロードを走ります。
なので、ある程度高度を上げたら山を延々トラバースします。起伏はあまりなく、累積高度も低めです。イメージとしては標高と累積標高が高めなウルトラマラソンです。
しかしこれは2019年までであり、今年は違いました(2020、2021年は中止)
従来のコースの一部が崩落したため、新コースになり、周回毎に会場に戻ってくるループコースに変更。
会場の松原スポーツセンターから比較的近い「上松(あげまつ)エリア」が主なコースになりました。ここを2周してから従来のコースの一部である「滝越(たきごし)エリア」を3周目として走ります。
100km部門は「上松エリア」「滝越エリア」をそれぞれ1周して終了です。
タイムは100マイルだと従来より1時間半~2時間ほど多くかかっている選手が多かったです。
戦略
・忌々しいほど長いロード
3周のループコースになったので当然スタート会場に3回も戻ってくることになります。
必然的に、最初の山までのロードと、戻ってくるまでのロード区間が長くなります。ここを飛ばさないように気をつけました。結果的にキロ6分台~7分を少し超えてしまう程度でも余裕で間に合いました。
・アップダウンが増えた
先述の通り、3回山に入り、3回降りてくることになるので、一気に登り、一気に下る区間が多くなります。公式HPの高低図を見るとギザギザです。
従来のようにやろうと思えば全走りできそうなコースではなくなりました。それをするともれなく死にます。
なので、一度高度を上げればずっと走れるというイメージは消しましょう。
「普通のトレランレースにだいぶ近くなった」と認識を変えたほうが温存できます。
レースが始まり、最初の山に入ると案の定、傾斜がきつかったです。すぐに歩きに切り替えます。周囲はみんな走っていて、あっという間に置いていかれました。明らかなオーバーペースなので追いません。
28km付近のエイドに到着すると、「後ろから10番目くらい(140位くらい)」と教えてもらいました。
この後、さらに登りは続きます。ペースを変えずに淡々と登り、早々に潰れてしまった選手を次々と拾っていきました。100マイルのレースでここまで序盤で潰れている選手を見たのは初めてでした。1周が終わって87位だったので、この周回の後半だけで50人強抜いたことになります。
・凡ランナーは疲れないように
筆者のような凡ランナーの場合は特にですが、100マイルは一度疲れると取り返しが難しいです。
一定ペースを保ち、疲れないように疲れないように、細心の注意を払いながら走ったほうが最終的には順位が良くなり完走する確率は上がります。
これはよく言われる「潰れないようにする」の二段階くらい手前の出力のイメージです。
筆者は「最大心拍数-45の心拍数(イージーペース範囲内でも可)を越えないようにする」「ストックを使って脚をなるべく使わないようにする」のふたつを主に気をつけています。
ほぼ抜きっぱなしになるので、100マイルに最も重要なメンタルも落ちにくくなります。
レースはこのペースを維持したまま進み、結果的に制限時間の20分前にゴールしました(1週目7時間半、2週目8時間、3週目8時間)。
・厳しい制限時間
100マイルなのに制限時間は24時間しかありません。
怪我の再発に怯え、常にストックを突いておじいちゃんのように進んでいましたが、平地、下り、超ゆるい登りは走らないと間に合いません。
その場合もまずストックを突き、それからふわっと着地して衝撃吸収するように気をつかっていました。
24時間制限なので、kmアベレージ9分で完走できるのですが、登っているとあっという間に落ちていきます。
ですが、各周回共に、最後に15km~20kmほどの下りがあるので、ここで取り戻せます。焦らないように脚を残しましょう。
この下りは同時に罠でもあります。飛ばすともれなく脚が壊れます。筆者はキロ7分ちょうどくらいで下って脚を温存&タイムの短縮を計りました。要するに良いとこ取りすればいいのです。
「100マイル部門は、100kmコースのタイムの倍かかる」と言われています。
この分析は信憑性が高いと思います。筆者も脚の調子が良ければそのくらいのタイムでまとめられたと思います。
100マイル完走を目指している100km参加者の方は12時間以内の完走を目標にしましょう。
・過酷なコンディション対策(主に雨天)
このレースはピーカンで暑いイメージがありますが、実際は雨のほうが多いです。
今回もほぼ雨でした。雨脚が強くなったと思うと晴れ、すぐに暑くなり、レインを脱ぐとまた降り出したりと難しいコンディションだったと思います。
路面はひどく荒れていて、絶対に水たまりに突っ込まなければならない場面が多かったです。沢が氾濫していて路面が川になっていたこともありました。
そうなると、常に足は濡れっぱなしです。足裏、指のマメ対策が重要になります。
筆者はレース12時間前にワセリン(ガーニーグー)を塗り込み、レース前にも塗り込み、過酷なレースで愛用しているインナーファクトの5本指ラミーソックス(足首丈)を履きました。足首丈にしたのは砂が少しでも入ってくるのを防ぐためです。
レース後、絶対にやばいことになってると思いながら靴下を脱いだら、まったくマメはできていませんでした(シューズに侵入した小石を長時間踏みつづけた結果できた小さな痣はありました)
結果的に24時間程度だったらこの組み合わせでまったく問題ありませんでした。
反省点は足首の擦れです。ここにはワセリンを塗っていませんでした。今後はしっかり塗り込もうと思います。
雨のレースでは特に、お腹の冷え対策も重要になります。
お腹にガーニーグーを塗ると水を弾いてくれて保温になります。大げさに言うと層が増える感じです。
この上にドライレイヤー(今回はファイントラックのパワーメッシュ)を着て下腹部まで覆うとお腹の冷えはかなり軽減されます。
インナーパンツは日常でも愛用しているインナーファクトのインナーパンツを履きました。
豪雨で濡れた後も、あっという間に乾くので、股ズレもお腹が冷えることもありませんでした。念のため、この部位にもガーニーグーを塗っておきましょう。
ワセリンではなく「ガーニーグー」と強調しているのはそれだけ普通のワセリンとの違いがあるからです。
インナーファクトのインターネットストアでも取り扱いがあるので、強力なワセリンを使ったことがない方は是非試してみてください。
まとめ
累積標高が8000mあるような100マイルレースと比べると、このレースの累積は半分ほどなので楽なのかと思っていましたが、制限時間が短いので出力を上げざるを得ず、滅茶苦茶きつかったです。
コースは従来のほうが景色も眺望も良いし、難易度も低いので戻ってもらいたいのですが、運営や自治体の負担を考えると、今回のようなループ方式になる可能性は高いようです。
その際はこの記事を思い出して参考にしてみてください。
レース装備(携帯品)
ザック:SALOMON / ADV SKIN 5 SET + SALOMON / Custom Quiver
ヘッドウェア:SUUNTO / BUFF、SALOMON / SPEED BOB
ネック:比古地朔弥 / 秩父吉田龍勢手ぬぐい
シャツ:無印良品x高尾 BOX PIZZA / T-Shirt、Patagonia / Fore Runner Sleeveless
ドライレイヤー:Finetrack / Powermesh
インナーパンツ:インナーファクト / インナーパンツ
パンツ:Answer4 / 3Inch Short Pants
シューズ:Topo Athletic / Ultraventure
ソックス:インナーファクト / ラミーソックス(5本指ミドル丈)
レインウェア上:THE NORTH FACE / Strike Trail Hoodie
レインウェア下:OMM / Halo pants(未使用)
ストック:MOUNTAIN KING / Trail Blaze
ライト:Petzl / NAO(頭)、Ledlenser / NEO 10R(腰)
ウォッチ:COROS / VERTIX 2
ゼッケンベルト:ゴム紐xホチキス
ワセリン:ガーニーグー
コメント