インナーファクトからトレイルハットが発売されました。
https://shop.inner-fact.co.jp/?pid=181916374
今でこそトレラン界でハットがブームですが、つい2年ほど前まではツバが短いキャップが流行っていて、次にバフ(ヘッドバンド)やサンバイザーという勢力図だったと記憶しています。
私はといえば、5年以上前からトレランでもハットを被っていました。
ハットを被ってトレランしてる奇矯なランナー=私だと認識されるほどで、レースや練習山域の高尾エリアで走っているとよく話しかけられました。それほど珍しかったようです。
そんな流行る前からハットを被りまくっていたハットジャンキーな私がトレイルハットをレビュー…………しようと思って書いていたのですが、すでにしょーじJrさんが素晴らしいレビュー記事を書いているのを今になって発見してしまいました。詳しいレビューはしょーじJrさんの記事をご参照ください。
よって私は、ハットそのものの素晴らしさを書いていきたいと思います(最後に少し私の視点でレビューします)
目次
ハットの素晴らしさ
頭デカの救世主
まず、頭デカの救世主であるという点です。私は頭がでかく頭囲は58cmもあります。身長は170cm弱なのにも関わらず、その頭部の威圧感で175cmくらいと思われていることが多々あります。
頭デカだとキャップが悲しいほど似合いません。トレランやUL界でここ数年流行っていたツバが短いキャップなんて、より頭デカが強調されて凄惨を極めます。
それは気のせいで、被っているうちに着こなしができてくるという説はありますが、それは悲しいことに自分の目が慣れてしまっているだけです。
最初はキャップに違和感があったけど慣れてしまったという方がいたら、ぜひハットを試してみてください。頭がでかければでかいほど似合いますので。
落ち着いて見える
キャップはどうしてもスポーティで少年ぽさが滲み出ます。
一昔前に流行ったデニムプリントランパンとツバ短キャップを組み合わせたおっさんを見た衝撃はいまだに忘れられません。明らかにおっさんなのに服装が少年で脳がバグるのです。AVのショタ役なのに明らかに50歳オーバーの小柄のおっさんがでてきたような……もうこれ以上はやめましょう。
これは逆に似合う人は滅茶苦茶若く爽やかに見えます。ある意味残酷なファッションなのでしょう。
話題がそれました。
それに比べてハットは年相応に落ち着いて見えます。私のような根が鬱屈とした文学青年じみたオタクでもしっくり馴染みます。そんなオタクが、「どれ、健康のために運動でも始めるとしますか」と重い腰を上げてようやくトレランやら登山やらランニングやらを始めたのに、キャップを被らなくてはならない試練にぶち当たります。それを救ってくれたのがハットでした。
山に合う
私はトレランだけではなく、クライミングや沢登りやバリエーションルートもします。様々な角度で山を楽しんでいて一番しっくりくる被りものはやはりハットです。ヘルメットを被るのがセオリーな危険な山行でもハットを被りたくなるほどです。それほどバランスがいいのです。
キャップはやはりスポーツ感が醸し出されてしまいます。機能面でもハットに及ばないのもあると思います。
私はトレランは、ランニングの延長線上にあるというより、登山の延長線上にあると感じています。なので、キャップに違和感を抱いてしまうのかもしれません。
余談ですが、私はトレランでストックを使うのが大好きです。これは山で効率よく前へ楽に進むための叡智であるストックが好きでたまらないからです。よくストック禁止のレースがありますが、それじゃマラソンと変わらないじゃん……トレイルという要素をもっと楽しませてくれよと少しがっかりしてしまいます。
トレランでのハットの有用性
先述した「どうしてトレランでハットが流行っているか?」にも繋がります。
ぶっちゃけると、機能的には今まで流行っていたツバが短めのキャップで十分だったのです。汗止めにもなりますし、速く走ってもハットのように風を受けないので飛ばされることもありません。すぐに着脱できるのも大きな利点です。
これがハットに変わってきたというのは、トレラン愛好家達の習熟度が上がってきたのだと思います。
キロ3分台で走るわけでもないからハットでも十分だと気づいたり、首回りに影ができるのは涼しくて快適だと実感したのだと思います。特にペースがゆっくりなウルトラマラソンやウルトラトレイルになるとハットの有用性が上がっていきます。
トレイルハットレビュー
買いかどうか
ようやくレビューです。
手っ取り早く結論を出すとすれば「買い」ですが、「S/Mサイズなら」という条件がつきます(L/XLサイズは製品サイズ自体が大きくなり、使用感が変わるためです。詳しくは後述します)
軽量で、メッシュ部分が多いので通気性が良く、長めのツバもワイヤーが入っているので自由に形状を変えられて便利です。明らかに登山用ではなくトレラン向けにカスタマイズされています。
トレランでハットを使ったことがないひとに勧めるなら、この製品かSalomon/Speedbobの現行バージョンになると思いますが、そもそも品薄で売っていないので買えないという欠点があります。
トレイルハットの詳しいレビュー
このハットはS/MサイズとL/XLサイズの2サイズ展開です。
私の頭は悲しいほど大きく、外周は58cmほどです。クライミングのヘルメットもいつも悩んでいます。
S/Mサイズは被れないことはないが、パツパツで風を受けると脱げやすいです。外周56cm以下であれば快適に被れると思います。
後にL/XLサイズを購入して被ってみると、すっぽり被れて脱げることなく快適そのものです。しかしなにか違和感があります。ハット自体のサイズが大きくなっていたのです。測ってみるとS/MとL/XLの全長差は5cmもありました。これは別もの! とまでは行きませんが、若干機能性が変化してきます。
S/Mサイズはまさにトレラン用途のハットといった感じなのですが、L/XLは登山や砂漠を歩くときに被るサファリハットのような大きさです。
これは走る用途では厳しいのでは……と思いつつも、ザックを背負って走ってみたところ、思ったよりも邪魔にならず、風を受けて脱げることもなく(自転車に乗って実験もしてみました)マイナス要素は少なかったです。それどころか真夏のゆるいランならばこちらのほうがいいとさえ思えました。
L/XLサイズを購入する方は上記を留意してください。
汗止め、氷入れ
真夏の気温35度、湿度80%のトレイルで7時間被っていたところ、汗止めのキャパシティが追いつかずに汗が滴り落ちてきました。ですが、この気温だと仕方がないのかもしれません。
ポリエステル100%のSalomonハットだと、ハット全体で汗を受け止めてくれるので滴り落ちることはほぼなかったです。ただし保水するので重たくなります。
ここら辺のバランスは一長一短だと思います。
頭頂部部分にセットできる氷入れがありますが、小さく、セットするのが面倒です。入れて走ると確かに涼しいですが、おまけ程度に捉えたほうがいいと思います。私はデフォルトで外しています。
Salomonハットは頭頂部全体に氷が入れられるから楽だしかなり冷えます。こちらの問題は氷が溶けてくると偏ることです。
他社製品との比較
Ciele Athletics / BKTHAT−STANDARD
ルックス 10 通気性 4 機能性 5
Ciele Athletics / BKTHATのすごいところはデザイン性で、いい感じのカラーを選択すれば日常でも使えます。
ほんと普通のおしゃれなバケットハットです。レースだと蒸れて若干厳しいですが、真夏以外なら練習で使えます。このハットは本当に傑作です。
SALOMON S-LAB / SPEED BOB
ルックス 6 通気性 7 機能性 9
S-LAB(レース用ライン)なので、機能性が高いです。非常にバランスがよく、特出すべき欠点がありません。まず飛ばされることはないのに顎紐も付いていて安心できます。
インナーファクト / トレイルハット
ルックス 6 通気性 8 機能性 7
トレイルハットは、なにより目が大きいメッシュがふんだんに使われているので蒸れないのがいいです。軽く、コンパクトに折りたためるのも便利です。夜間など必要がなくなったときにザックにしまってもスペースを圧迫しません。なんならランパンのポケットにしまえます。
ウルトラに特に向いています。Salomonのハットとどちらを使うか悩ましいところです。要望としては着脱式の顎紐が付いていれば……といったところです。
まとめ
単純にトレイルハットのレビューをしようと思っていたのですが、書いていくうちにハットスタイルそのものの良さを広めたくなってしまいました。初めてハットに挑戦する方は、日常で被れてそのまま走り出せるCieleのハットがいいのかもしれません。それからトレラン用のハットを導入するとその差異が理解できて、より面白くなると思います。皆さんが良いハットライフを送れるように祈っています。
コメント