前回記事でプロになるための理想と現実、心構えや準備的な要素を解説しましたのでここではスポンサードの種類とその内容について解説していきます。
まだ前回記事を読んでいない方はそちらから読んで頂くことをおすすめします。
スポンサーについてもらいたい!と思っても、その種類と内容を理解しておかないと「どんなサポートして欲しいの?」と聞かれた時に困ると思います。
「どんなサポートでもいいです!!」と言われるとこちらからしても困ったりします。
ですので、ここではまずはスポンサードの種類と内容をしっかり把握してもらえるように、わかりやすく解説できればと思います。
あまり口外されることの無い情報なのでは?と思います。
スポンサードの種類
メーカーや企業が選手をスポンサードする形態は大きく「物品提供」と「資金提供」の2つがあると思います。
想像できるかと思いますが「資金提供」のハードルはとても高いです。
ですが、今までウチの会社から選手に資金提供をしたこともありますし、選手の代わりに営業活動を行い企業から資金提供を結びつけたこともありますのでその内容を書いていきます。
物品提供
まずは比較的ハードルが低い「物品提供」から解説していきます。
物品提供にも細かく分けるといくつか種類が分かれます。
ざっくり分けると「完全無償無制限提供」、「完全無償有限提供」、「特別価格提供」の3パターンが挙げられます。
読んで字の如くですが一応説明をしておくとこんな感じです。
「完全無償無制限提供」:自社製品を無償で金額や数量に上限無しで製品を提供する。 「完全無償有限提供」:無償だけど金額や数量に上限が設けられていて、それ以上必要な場合は特別価格での購入。 「特別価格提供」:無償提供ではないけど特別価格で製品購入が可能
選手を応援したいけどそこまで資金的な余裕が無い会社や、資金に余裕がある会社でもまだこの選手にお金を払うには至らないなと判断された場合このサポートになります。
トップ選手の中でも公務員の選手や会社で副業を禁止されていたりする場合は、自ら資金提供を断り物品提供を希望す選手もいます。
先に挙げた3パターンの物品提供の種類に関してもその会社の資金的な余裕や、選手に対しての評価でどのサポートを受けられるかは変わってきます。
資金提供
こちらは選手に製品ではなく現金をサポートしてくれる、選手が一番憧れるサポート形態かと思います。
基本的にはこちらの資金提供も大きく2パターンあり、「年間活動資金提供」と「一定基準の活動や結果に対しての資金提供」に別れます。
「年間活動資金提供」はシンプルで年俸の様なイメージです。
会社によっては年俸を月換算にして選手に振り込むパターンもあります。
少しイメージしにくいのが「一定基準の活動や結果に対しての資金提供」だと思いますので解説します。
「一定基準に達した活動に対しての資金提供」はINNER-FACTでも導入している制度で、INNER-FACTでは大会参加にかかるエントリー費、宿泊費、交通費の実費をサポートします。
純粋に大会に出場するためにかかる費用をサポートするイメージです。
選手はそれらの領収書や明細を保管し、決められた書式で会社に書類を提出し、かかった費用を会社が後日振り込みます。
ウチの会社では経費精算書のようなExcelのテンプレートファイルを作成しそれを選手に渡し、そのExcelに選手は必要項目を記入し領収書などの添付画像を貼り付け、月毎に提出してもらっています。
次に「一定基準の結果に対しての資金提供」は、大会で実績を残したレースによって費用が得られる方式です。
例えばUTMFで優勝したらいくら、UTMBで入賞したらいくらなどです。
この方式を取り入れている企業は少なく情報が開示されてないので想像の範囲になってしましますが、この方式もINNER-FACTでは採用しようかなとも考えています。
事前に会社側でメジャーレースの一覧を作り、レース毎の順位によって予め報酬を決めていく様なイメージです。
選手は賞金レースとして大会に臨む感覚になるのかなとも。
サポート依頼する際は内容に根拠を
サポート依頼する際にはその内容に根拠が必要になります。
物品提供を希望する際は必要物資量の根拠がいり、資金提供を依頼する際にはその根拠が。
「物品提供の根拠」を具体的に説明すると、月間どのくらい練習すると今までどのくらいの頻度で希望するギアが交換の時期を迎えたかを、過去の買い替えサイクルから概算を出しまとめておきましょう。
また、大会はもちろん普段の練習から御社のギアを常時身につけたいです!!となると週間の着回しコーディネートも考えておきましょう。
もちろん大前提として依頼をする会社の製品のアイテム数やカテゴリをしっかり把握しておき、「これを使いたいです!」と希望するのが良いでしょう。
「資金提供の根拠」は年間の活動費をサポートしてもらいたいのか、大会エントリーにかかる費用をサポートしてもらいたいのか、はたまたインセンティブのようなイメージで大会結果に応じて資金をサポートしてもらいたいのかを整理しておきましょう。
年間活動費の場合は前回記事で強く推奨した「収支計画書」を作成しておけばOKでしょう。
大会エントリーにかかる費用をサポートしてもらいたい場合も、収支計画表を作る上で一度試算しているはずですのでそちらでOK。
大会結果に応じて資金をサポートしてもらいたい場合は、その大会にかかる費用分なのか黒字になる様にさらにプラスアルファするのか、大会のレベルによってはその入賞の重みも違うでしょうから更に加味するのか。
この資金サポートパターンが一番複雑なので、提案しやすいのは前に挙げた年間の活動費か大会出場にかかる費用のサポート依頼かと思います。
実際に行動に移す
ここまでで一通りの準備が整いましたので、いざサポート獲得の為に動き出す必要がありますが、その前にプレゼン資料の作成が必要になります。
実はこの記事を書き始めた時は最初にプレゼン資料の書き方に関して書いてました。
僕自身会社を経営するにあたって銀行から融資を得る必要がありますし、補助金や助成金を獲得する事もありそれらを得る際には必ず事業計画書というプレゼン資料を作成します。
銀行融資、補助金や助成金が通らなかった事がないのでその経験をもとに資料の作り方をまとめ書いてたのですが、その内容がどうしてもビジネス的な切り口からの解説になるので途中でやめました。
正直な話し、本格的にプロとして活動していく際にはマネジメントしてくれる人がいると理想だと思ってます。
選手自身はプレゼンなどした事ないでしょうし、なれない資料作りで大幅に練習の時間を削られるのも非効率です。
それなら代理人的な人がしっかりヒアリングして、書面化する方がはるかに効率的だからです。
また、プロとして活動していくと望まないサポートの依頼が舞い込む事があります。
サポートメーカーの内容が被ってしまったり、契約内容が厳しすぎたり、人間同士の感性として担当者と性格の不一致があったり。
そういった時に選手自身が断ると角が立つので、マネジメントしてくれる人が代理人として断ると選手のダメージは最小限ですみます。
この話をすると「自分のことは自分ですべきだ!!」と言う人もいますが、タレントやお笑い芸人などの芸能人も、プロのスポーツ選手にも必ずマネージャーがついてます。
全てを自分でマネジメントできる人はそれでいいのかもしれませんが、大成している選手の裏には間違いなくマネージャーがいます。
普段はそれが見えないだけです。
ただ、こんな話をしておきながらなんですがマネジメントしてくれる人が見つかったとしても安易にお願いしない方が良いです。
社会人時代に仕事を外部に依頼したことない人はここで高確率でトラブルになります。
それは主にお金の部分と活動の方向性です。
前の記事で何度も言いましたがプロは「事業」であり「ビジネス」です。
誰かと組むと言うことはそこに責任が発生しますし、スポンサーの獲得などを任せる場合はもはや共同事業です。
僕は共同事業でうまくいったケースをあまり知りません。
どんなに仲が良い人や信頼を置いている人でも、そこに責任が産まれるビジネスとなるとズレが生じます。
実際に一般ビジネスでも、トレイルランナーでも、トレイルラン業界でも幾度となくそんなトラブルを見てきています。
ではどうしたら良いのかとなりますが、現状プロのマネジメント会社である芸能事務所がトレイルランの選手をマネジメントすることはないでしょうから、自分でなんとかするしかありません。
本気でプロを目指したいけど計画書や資料の作り方がわからないと言う方は、可能な範囲でお手伝いしますのでお気軽にご連絡ください。
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